マーケティング施策を進めるとき、実行後の振り返りや改善が足りずに、似た施策を繰り返してしまうことはありませんか? こういう状態だと、成果はなかなか伸びませんよね。
そこで今回紹介したいのが、次の2冊です。どちらも経営や業務改善についての本ですが、マーケティングの「実行確率」をぐんと高めるコツがたくさん詰まっていると思ったので紹介します。
紹介する書籍
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- 超鬼速PDCA – 冨田和成 (著)
- ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化 – 松田幸之助 (著), 吉川充秀 (著, 編集)
2冊との出会いと実践の背景
両著者の他の本(鬼速PDCA、ヤバい仕組み化)に、実際の仕事で取り入れられるヒントがたくさんあったので、今回も内容に期待して手に取りました。
読んでみて、すぐに実践できそうな施策が多く盛り込まれていました。社内で試してみようと思える内容でした。
なぜ2冊を合わせて紹介するのか
マーケティングを成功させるには、大きく分けて2つの要素が必要です。
- 「戦略と実行の仕組み」
- 「それを実行する人材の育成」
いくら優れた施策を考えても、実行する人が足りなかったり、スキルやモチベーションが低かったりして正しい方向性でやりきれていなければ成果は出ません。逆に、実行を徹底できていても、戦略がイマイチだと成果も伸び悩みます。
今回紹介している2冊は、いずれも「戦略立案と実行の仕組み」と「人材育成や組織変革」の両面について記載があります。マーケティング施策を振り返りながら改善していく場面でとても役に立つと感じました。
『超鬼速PDCA』が教えてくれること
この本で提案される「週次もしくはさらに短いサイクルでのKPI/KDI進捗管理と調整(ADJUST)」の仕組みは、施策の結果をきちんと振り返って次に活かす方法として優秀です。
KGIやKPIの推移だけを見るのではなく、KDI(Key Do Indicator)を見て、改善施策をチーム内でやり取りする方法が解説されています。KDIはKPIを達成するための具体的な行動量を測る指標のことです。
「受注数」「商談数」がKPIだとすれば、KDIは「コール数」「メール送信数」などが設定されます。成果はコントロールできませんが、行動量はコントロールできるため、KDIをきちんと設定してこまめにチェックすれば、目標達成に向けた動きを管理しやすくなります。
KDI以外にも、組織にPDCAサイクルを根付かせるためにできることが、著者が自ら実践したことを元に具体的に説明されているので、すぐ実践しやすいと感じました。AIについて言及されているパートでは、経営のPDCAにAIを組み込む方法・プロンプトなどが紹介されていて、試してみようと思いました。
『ヤバいくらい成果が出る人財教育の仕組み化』が教えてくれること
こちらの本は、人材育成を「仕組み化」して、改善を続けていく方法をわかりやすく紹介しています。
いくら良いマーケティング戦略・戦術を立案しても、実行が弱いと成果は伸びません。施策を実行するための仕組みづくり、教育、モチベーション管理などが網羅的に解説されています。
施策を考える材料になる2つの方程式
以下の2つの方程式が紹介されています。
業績方程式①:戦略確率 ✕ 実行確率(決定サイクル:報告、決定、実施、チェック)
= (報告の質と量 ✕ 決定の質と量)✕(実施の質と量 ✕ チェックの質と量)業績方程式②:= スキル ✕ モチベーション ✕ ベクトル
(※書籍内の複数ページにまたがる内容を組み合わせて引用)
この2つの方程式は「どこをどう強化すれば成果が上がるのか?」、それぞれの項目に対する打ち手が整理しやすくなる素晴らしい言語化だと感じました。たとえば、スキル不足であればトレーニングを強化する、モチベーションが低いなら教育や仕掛けでやる気を高める、というように具体的に対策を打ちやすくなります。マニュアル化、チェックリスト化、カレンダー化など、施策を標準化してかつやり切る方法についても細かく解説してくれています。
また、改善サイクルを回すフレームワークとしては「GPDCAY」が紹介されています。これは、通常のPDCAにG(ゴール=期待成果)とY(横展開)を加えたもので、目標の明確化とノウハウの共有がスムーズに行える方法です。
2冊を通じて感じたこと
いずれも組織内全体にどう改善サイクル、価値観や行動様式を浸透させていくかに紙面が割かれていました。チームでマーケティングを実践していくにあたり、明文化していつでも見られるような状態にする、会議体やイベントやツールなどによる徹底した繰り返しの共有が両方で触れられていて、重要なポイントが重なっていると感じました。
まとめ
両書とも、経営やマーケティングの「実行力」をぐんと引き上げる具体的な方法がたくさん詰まっています。人材育成と報告・決定・実施・チェックの改善の両方を同時に考える大切さを教えてくるのが、この2冊の魅力だと思います。経営者やマーケティングを担当されている方々にとって学びが多いのでおすすめです。
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