西口さんの前著が良かったので「115種のメソッド」というタイトルを見て手に取りました。これだけの手法を一冊でカバーしていながら、実際に読んでみると一つひとつの解説がしっかりしていて、想像以上に充実した内容でした。
これだけは抑えておきたい12分野24種と、新しい2つの手法、さらに学びたい人向けの89種といった流れで構成されています。各手法には具体的な事例が豊富に盛り込まれていて、理論だけでなく「実際にこういう場面で使われている」というイメージが湧きやすく、非常に読みやすいです。
「顧客起点マーケティング」の部分と、最近注目の「AIマーケティング」の部分は、この2つだけでも買う価値があると思います。顧客起点マーケティングについては、西口さんの「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」などと重複する部分もありますが、本書で紹介している様々な手法と顧客起点マーケティングの関連性について解説されており、新たな気づきを得ることができました。
先日紹介した「マーケターキャリアパス 10年後も成長し続けるための成長戦略」 ではマーケターの職種が11系統48種類に整理分類されていましたが、マーケターと一口に言っても、実際は全然違う仕事をしている人たちの集まりです。広告運用をメインにしている人、ブランディングに特化している人、データ分析を中心にしている人…。すべての領域に詳しくて経験を積んでいる人はいないと思うくらい広いです。本書にはどんなマーケターでもきっと自分が取り組んだことのない手法が含まれているはずです。私は経験がデジタル領域に偏っているので、オフライン施策やブランド戦略の部分は「なるほど、こういう考え方があるのか」という発見が多かったです。
本書はチーム内の勉強会でも使いやすいです。各メソッドがコンパクトにまとまっているので、1つの手法を取り上げて議論のきっかけにできます。なお、ある程度現場を経験してから読む方が、自社の状況と照らし合わせながら「これは使えそう」「これは今じゃないな」という判断ができそうです。
実務経験がある人にとっては自分の知識の整理や新しい視点を得るのにとても良い参考書になります。特に、他部署のマーケティング活動を理解したい時や、将来的にキャリアの幅を広げたい人には重宝するはずです。
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