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n8nで始める社内業務自動化|Zapier超えの柔軟性と実践例

2025年8月20日

なぜ今「業務自動化」と「AIエージェント」が注目されているのか

生成AIを活用した業務効率化は「質問して回答を得る」という段階から一歩進み、”AIに一部の業務を実行してもらう” というフェーズに移りつつあります。いわゆる「AIエージェント化」です。

これまではAIに指示をする人間が必要でしたが、エージェント型は決められたトリガーやルールに従って、AIが自律的に動くことが特徴です。

その中で、「ChatGPT単体では複雑な業務フローに対応できない」「Zapierでは条件分岐や変数処理の柔軟性が足りない」と感じた企業が注目しているのが n8n というツールです。

業務自動化プラットフォーム「n8n」とは?

n8nは、ドイツ発のオープンソース業務自動化プラットフォームです。ノーコードでワークフローを構築できる点はZapierに似ていますが、より柔軟に分岐処理や変数処理を扱うことができます。

特に複雑な条件分岐や繰り返し処理を含む業務フローの自動化、さらにはAIサービスと組み合わせた高度なエージェント機能の構築に適しており、セキュリティとカスタマイズ性を重視する企業から注目を集めています。

Zapierとの違い

項目Zapiern8n
学習コスト★★★(易しい)★☆☆(初期は複雑だが強力)
技術的柔軟性★☆☆(シンプル)★★★(JavaScript使用可能)
条件分岐・変数処理★★☆(基本的な分岐)★★★(複雑な分岐も対応)
セルフホスト✗(クラウドのみ)✓(自社サーバーで運用可能)
データガバナンス△(海外サーバー)◎(完全社内管理可能)
月額コスト$19.99~(無料プランあり) €20~(14日無料体験あり)

*価格・プラン情報は2025年8月時点のものです

特に「社内データを外部に出したくない」「複雑な業務ルールに柔軟に対応したい」という日本企業のニーズに、n8nの特徴がマッチしています。n8nはセルフホスト対応により、顧客情報や機密データを社外のクラウドサービスに送信することなく、完全に社内環境で業務自動化を実現できます。また、JavaScriptコードの直接実行や複雑な条件分岐により、「承認が3段階必要」「部署によって処理が異なる」といった複雑な業務ルールにも柔軟に対応可能です。

n8nを使った社内業務プロセス自動化の実践例

構築したワークフロー:日次業務チェックの自動化

今回は社内の「日次業務報告」を自動化しました。社員全員が毎日Googleシートに入力する「日次更新」を対象に、入力状況を自動判定し、結果に応じて注意喚起または完了通知を Slack に自動送信するしくみをn8nで構築しています。

構築手順(実装時間:約30分)

1. Schedule Triggerノードで毎日20:00に起動

2. Get rows in Google Sheetsノードで対象シートを取得

3. Codeノードで「未入力の社員名」を抽出

なお、今回のワークフローでは「未入力者の判定」をCodeノード内で行っています。これは、複数の処理ステップ(今日の列を特定 → 空欄かどうかを判定 → 未入力の社員名をリスト化)を1つのノードで効率的に実行するためです。

他のノードを組み合わせても同様の処理は可能ですが、Codeノードを使うことでワークフローをシンプルに保ちながら、カスタムロジックを柔軟に実装できます。

4. IF で条件分岐(未入力者がいるかどうかを判定)


未入力者が1名以上いる場合は「true」、全員入力済みの場合は「false」に分岐します。

5. Slack で結果を自動送信

実際の通知メッセージ

この実践例はZapierでも実現可能?

今回の「日次業務チェック自動化」は、Zapierでも基本的な部分は実現可能です。しかし、「全社員リストと今日の入力者を比較して差分を抽出」といった複雑なロジックをZapierで実装するには複数のZapを組み合わせる必要があり、設定が複雑になります。

n8nなら1つのワークフローで完結し、JavaScriptによる柔軟なデータ処理で簡潔に実装できます。シンプルに見える業務自動化でも、少し複雑なロジックが必要になるとn8nの柔軟性が大きなメリットとなります。

業務自動化は「使う」から「構築する」フェーズへ

生成AIが普及したことで、社内にも「AIに任せられる部分」を求める機運が高まっています。n8nは複雑な業務フローの自動化とAIエージェント機能を社内に実装するための基盤として、今後さらに重要になるでしょう。

まずは今回のように、日次チェックやリマインドのような”小さな業務” から始めることで、社員側も「自動化・AIに任せてもいい」という感覚を持ちやすくなります。

実際にn8nやAIツールの活用方法を学びたい方へ

弊社では、n8nを含む最新のAI自動化ツールの実践的な活用方法を学べるAI研修コースを提供しています。今回紹介したような業務自動化の実装から、より高度なAIエージェント構築まで、ハンズオン形式で習得いただけます。

詳細については、お気軽にお問い合わせください。

Mandy

この記事を書いた人

Mandy

多言語メディアディレクター/翻訳者 翻訳のディレクションの傍ら、英語、繁体字、簡体字、日本語の他、韓国語のディレクションも行い、主に多言語で展開するメディアを担当。月間100記事を超える大規模な旅行情報サイトなど、インバウンド関連のメディアを担当。

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