「戦略って何?」と聞かれたら、どう答えますか?詳細な計画書をイメージする人もいれば、経営理論を思い浮かべる人、将来の夢を語る人もいるでしょう。みんな違う答えを持っているからこそ、組織では「戦略」をめぐって混乱が起きがちです。
戦略に対しての認識のギャップを埋め、戦略の本質をシンプルかつ実践的に学ばせてくれるのが 『君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間』 です。
著者は戦略立案を、次の 6ステップ に体系化しています。全体像を俯瞰すれば、各ステップが連動して最終的な実行へ至る流れが一目で分かります。
戦略策定の6ステップ(p41)
1.目的を明示する
2.目的を再解釈する
3.資源を探索する
4.資源優勢を確立する
5.文章に書く
6.組織に展開する
このモデルの特徴は、目的の再定義にとどまらず、資源の探索・獲得から組織への浸透までを一貫して示している点です。戦略を策定して終わりにしない姿勢が際立っています。
目的の再解釈 桶狭間の事例
6ステップのうち、特に印象的だったのが ステップ2「目的を再解釈する」 です。著者は、この視点の転換で、後続の資源探索や優勢確立が左右されるとしています。
再解釈の威力を示すため、本書では織田信長と今川義元が対峙した 桶狭間の戦い が取り上げられています。圧倒的兵力差の中で信長が取りうる選択肢として次の5つが挙げられていました。
1.今川軍2~4万人を殲滅する
2.今川軍の戦力を消耗させ、士気を低下させる
3.今川軍の武将を調略し、戦力を削ぐ
4.義元を撤退させるために駿河で騒擾を起こす
5.義元を討ち取る
(p110-112)
信長は最終的に「義元を討ち取る」という局所的な目標を選び、正面衝突を避けつつ資源優位を築きました。同じ条件でも目的の置き方次第で資源の活用度が変わるという示唆を得ました。
本書から得られた学び
本書から主に2点を学びました。まず、新たな資源の獲得と手持ち資源の最大活用を、状況に応じて柔軟に使い分ける視点が大切だということ。そして、目的の捉え方を変えることで必要な資源も変わり、結果として資源優勢を築いたり目的を達成したりする道筋が大きく広がるということです。
この本は、チーム内で戦略について同じ方向を向きたい方や、もっと実践的な戦略スキルを身につけたいビジネスパーソンにぴったりです。難しい理論を歴史やビジネスの具体例でしっかり支えながら、ポイントをわかりやすくまとめているので、分厚い専門書が苦手な人でもスラスラ読めます。資源の獲得と活用のバランス感覚を磨き、組織のマーケティング力を高めたい方にも、きっと役立つヒントが見つかるはずです。
戦略を実際の仕事に生かしたい方はぜひ読んでみてください。