Looker Studioを活用するメリットに、「複数のデータをまとめて多角的な視点で分析できる」という点があります。そもそも単体のデータツールからのレポートなら各ツールに備えられた解析ツールで十分なことが多いです。ということで複数のデータをLooker Studioで合わせて分析したい！となるわけですが、そこでよくつまずくのが、データをミックスする「統合を統合」する方法です。この記事ではよくあるGA4とSerch Consoleの統合を例に紹介をします。
1. GA4×Search Consoleのデータ統合の概要
統合の目的とメリット
GA4とSearch Consoleのデータを統合することで、検索流入からサイト内行動までの包括的な分析が可能になります。通常、それぞれのデータだけ見ると、以下のような状態が起こります。
Search Console単体：検索結果での表示回数・クリック数は分かるが、その後のコンバージョンは不明 GA4単体：コンバージョンやセッション数は分かるが、どれくらいクリックされたのか、どんな検索キーワードで流入したかが限定的
これが、統合されることで、「コンバージョンの発生しているページの検索結果でのCTRを確認する」といったことが簡単にできるようになります。
主なメリット：
・検索キーワードとユーザー行動の関連性分析
・SEO効果の定量的測定
・コンテンツ最適化の戦略立案
・一元化されたダッシュボードでの効率的な分析
2. 統合データ作成の手順
2-1. GA4とLooker Studioの連携
GA4データソースの追加
- 上部メニューの「データを追加」をクリック
- コネクタ一覧から「Google アナリティクス」を選択
連携したいGA4プロパティを選択を選択し、「追加」を行います。
2-2. Search ConsoleとLooker Studioの連携
ステップ1：Search Consoleデータソースの追加
1.「データを追加」を再度クリック
2.「Search Console」を選択
3.対象サイトを選択
4.データの種類で「URLのインプレッション」を選択する
データを追加すると、デフォルトの名称は「Serch Console http～」となっています。Search Consoleのデータは２種類あり、判別がつきにくくなるので、必ず名称に「URL」や「サイト」などを追加しておきましょう。
■Serch Consoleー2つのデータがあるので注意！
Serch Consoleには「サイトのインプレッション」と「URLのインプレッション」の２つのデータがあります。２つの違いは、データの集計単位（粒度）にあります。
サイトのインプレッション (Site Impression):
サイト全体の合計値を取得するためのデータテーブルです。ページごとの内訳は見れません。
URLのインプレッション (URL Impression):
サイト内のページごとのデータを取得するためのデータテーブルです。どのページが、どんな検索クエリで表示されたかという詳細な分析が可能です。
ほとんどの場合、詳細な分析を行うためには「URLのインプレッション」を選択します。この2つは、Looker Studioでは別々の「テーブル」として扱われます。どちらのテーブルを選ぶかによって、レポートで利用できるディメンション（分析の切り口）が変わってきます。サイトのインプレッションはページごとの内訳が不要な「概要レポート」を作成する場合に適しています。SEO分析やコンテンツ改善など、具体的なアクションに繋げるための詳細な分析を行う場合は、必ず「URLのインプレッション」を選択してください。
■なぜこの選択が重要なのか？
Looker Studioでは、一度「サイトのインプレッション」テーブルでデータソースを作成すると、そのデータソースでは「ランディングページ」や「クエリ」といったディメンションは利用できません。
後から「やっぱりページごとのデータが見たい」と思っても、グラフや表に「ランディングページ」を追加しようとするとエラーになります。その場合は、データソースを「URLのインプレッション」テーブルで作り直す必要があります。
ステップ2：データソースの確認
追加されたデータソースが正しく表示されることを確認します。
2-3. 統合準備 GA4に「計算フィールド」でディメンションを作る
統合には２つのデータ間でキーとなる共通のデータが必要になります。
具体的にはSerch Consoleの「Landing Page」とGA4の「ランディングページ」のURLデータをキーにします。しかし、Serch ConsoleはURLがドメインを含む「https://siteengine.co.jp/blog/○○○」という表記なのに対し、GA4は「/blog/○○○○」のようなドメインのないデータになっています。そのため、GA4側に完全なURLを持つパラメーターを追加（計算フィールドの作成）をする必要があります。
１．データソースの中から先ほど追加したGA4のデータを選択
２．「フィールドを追加」を選択
３．計算フィールドを追加を選択し、ドメインを含むランディングページデータを以下のように作成します。
フィールド名：自由入力ですが、 フルURLランディングページ としました。
数式：以下の通り設定してください。URLにはGA4のデータ元となるURLを記載してください。
CONCAT("https://www.siteengine.co.jp",
CASE
WHEN ランディング ページ = "/" THEN "/"
WHEN REGEXP_MATCH(ランディング ページ, ".*/$") THEN ランディング ページ
WHEN REGEXP_MATCH(ランディング ページ, ".*\\.[a-zA-Z0-9]{2,5}$") THEN ランディング ページ
ELSE CONCAT(ランディング ページ, "/")
END
)これで、完全なURLのデータを持つランディングページデータができました。
2-4. データ統合の設定
ステップ1：統合の作成
１．上部メニューの「統合を管理」をクリック
２．「統合を追加」を選択
ステップ2：データテーブルの設定
統合を行います。
■左側Table 1（Search Console）の設定:
データソース：Search Console
ディメンション：
・Landing Page
・Query
・Date
指標：
・impressions
・Url Clicks
・Average Position
・URL CTR
■右側Table 2（GA4）の設定:
データソース：GA4
ディメンション：
・フルURLランディングページ（先ほど作成した計算フィールド）
・日付
指標：
・セッション
・エンゲージメントのあったセッション
・エンゲージメント率
・キーイベント
（他分析したいデータを追加する）
ステップ3：結合条件の設定
１．データの間にある結合条件を選択します。
２．以下の通り、各種設定を行います。
結合演算子：「左外部結合」を選択
結合条件：
Search Console「Landing Page」⟷ GA4「フルURLランディングページ」
Search Console「日付」⟷ GA4「日付」
重要ポイント： 結合条件は分析したい粒度に合わせて設定してください。ページレベルで分析したい場合は「ランディングページ」、日次で分析したい場合は「日付」も含めます。
結合演算子は、左テーブルのSerch Consoleにある、Landing Pageのデータを規準とするため、「左外部結合」を選択しています。結合演算子の関しての詳しい説明は以下をご参照ください。
Google Cloud 公式ヘルプ Looker Studio結合演算子
以上で統合作業は終了です。
これによって統合されたデータが完成し、データ選択時に統合データを選ぶことで、２つのデータからデータを取り出すことができるようになります。
3. よくあるエラーとトラブルシューティング
3-1. 統合データで数字が大きくなる
症状
統合後の平均掲載順位やクリック率が、元のデータより大きく表示される
原因
単体データの場合は、指標の計算方法がAUTで最適されていますが、統合データの場合、数値データは標準でSUM（合計）となっています。
上記の場合、実際は複数のランディングページURLに対してクエリがまたがっており、１つのクエリでも、ランディングページのURLの数だけ複数のデータ行を持っています。
それらの平均掲載順位が合計されることで、データが大きくなってしまっています。
対処法
指標の計算方法を平均などに直します。
3-2. Looker Studioのデータをコピーした後、データ表示がされない
症状
テンプレートをコピーをしてデータを追加したのに、一部の表やグラフにデータが反映されない
原因
コピー時に選択した「新しいデータソース」が間違ってる。
設定したデータソースに、グラフで設定されたディメンションや指標が存在しないため、エラーになってしまっていることが原因。
対処法
接続したデータが正しいかを確認し、誤っていればグラフに設定するデータを修正する。
特にSerch Consoleには「サイトのインプレッション」と「URLのインプレッション」があり、取り違えやすいです。設定するデータを誤るとエラーになるため注意が必要です。
まとめ
Looker StudioでのGA4とSearch Console統合により、検索流入からコンバージョンまでの包括的な分析が可能になります。適切な設定とトラブルシューティングの知識があれば、効果的なSEO・コンテンツマーケティング戦略の立案に活用できます。
しかし、分析用のフォーマットを作ってそれで終わり、では意味がありません。
成功のポイントは
- 明確な分析目的：何を分析したいかを事前に明確化
- 継続的な分析：定期的なデータの解析と、過去データとの比較
- 継続的な最適化：定期的なメンテナンスとダッシュボード改善
にあります。
定期的なデータ確認と改善により、データドリブンなマーケティング戦略を実現しましょう。
サイトエンジンでは、「データ分析をサポートしてほしい」「レポートを作る負担を軽減したい」「Looker Studioがうまく使えない」といったご要望に応える、「データ分析・可視化支援サービス」をご提供しております。ぜひお気軽にご相談ください。
