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顧客のニーズは現場にある|顧客解像度を上げるための方法

2025年8月4日

新規事業の立ち上げや新サービスを検討する際、「ネットで調べても本質がつかめない」「表面的な情報やデータばかりで、本当に何が求められているのか見えにくい」といった悩みを感じたことはありませんか?こうした課題を解決するうえで重要なのが、「顧客解像度」を高めることです。

この記事では、机上の情報だけでは見えてこない現場の声を捉え、顧客の真のニーズを深く理解するための具体的な方法について解説します。

顧客解像度の重要性

「顧客解像度」とは、顧客への理解の深さを表す指標であり、どれだけ鮮明に顧客像を思い描けているかを示すものです。これが高い状態では、顧客の属性だけでなく、「どのように情報収集し、サービスを選び、その際にどのような課題や悩みを抱えているのか」といった価値観や行動、課題、感情までを詳細にイメージできていることが求められます。

ネット上の情報だけでなく、実際の顧客の声を聞いたり、製品を使っている現場を観察したりすることで、顧客解像度を高めることが重要です。これをもとにして、コンテンツを作ったり、マーケティングの施策を考えたりしていきます。

ニーズを引き出すための方法

お客様の声を聴く

顧客解像度を高めるには、データや仮説だけに頼るのではなく、顧客の実際の行動や声にしっかりと向き合うことが欠かせません。

お客様の声を聴く方法1:直接声を聴く

まずは、お客様の声を直接聴く機会を設けることが重要です。営業やカスタマーサポートを通じたフィードバックに加え、ユーザーインタビューやアンケート調査を実施することで、具体的な評価や改善ニーズを把握できます。

SNSやレビューサイトなどからは、ユーザーの率直な反応を読み取ることができます。製品のどこに魅力を感じているのか、意外な評価ポイントがどこにあるのかを把握する手がかりにもなります。ただし、SNSで得られる情報は印象の一部分に限られることが多く、「なぜその製品を選んだのか」「導入前にどんな課題で困っていたのか」「他社サービスとどのように比較したのか」といった背景までは分かりにくいのが実情です。こうした点は、実際に顧客と対話して確認していく必要があります。

お客様の声を聴く方法2:有料のインタビューサイトを利用する

どうしてもお客様から直接話を聞くことが難しい場合もあると思います。

そのようなときは、インタビュー対象者を探せる外部のツールやマッチングサイトを活用するのも一つの方法です。実際に弊社でも、新しいコンテンツを立ち上げる際にこうしたサービスを利用して、必要な取材を行うことがあります。

こうしたサイトを活用するメリットは、以下の通りです。

  • 狙ったペルソナ層から情報を確実に収集できる

自社では接点を持ちにくい業界や職種、特定の購買層など、条件に合致した人をピンポイントで探し、インタビューを行うことができます。

  • 仮説検証をスピーディに進められる

候補者の選定から日程の調整までを代行してもらえるため、最短1週間程度でインタビューの実施と仮説検証を行うことが可能です。

お客様の声を聴く方法3:顧客のいるイベントへの参加

お客様や関係者が多数参加するイベントや勉強会に足を運ぶことは、業界全体のトレンドや課題を把握するうえで非常に有効です。

また、参加者や登壇者の話を通じて、顧客がどのような課題を抱えているのかを直接聞くことができ、調査レポートにはまだ現れていないような、新たな悩みや関心に気づくこともあります。

お客様が利用している現場に訪問する

実際にお客様が製品やサービスを使用している現場を訪問し、利用状況を観察することも効果的です。お客様がどのような環境で、どのような手順でサービスを使っているのかを自分の目で確認することで、数字では見えない課題や工夫に気づくことができます。こうした観察結果は、製品開発やUI設計の改善、さらにはマーケティング施策の見直しに役立ちます。

お客様の立場で使ってみる

実際にサービスを体験したり購入してみたりすることは、顧客解像度を高めるうえで非常に重要な方法の一つです。これは単に製品やサービスの内容を知るためではなく、顧客がどのように情報を集め、どのような視点でサービスを選び、その過程でどんな課題や迷いを抱えるのかといった深い理解を得ることを目的としています。

自社製品だけでなく、代替製品や競合サービスなども含め、できるだけ幅広く実際に試してみることが効果的です。それぞれの良かった点、使いにくかった点を自身の体験に基づいて整理することで、自社製品が市場の中でどのような立ち位置にあるのかを相対的に把握できます。

このようにユーザー目線でサービスを体験することは、顧客の視点に寄り添った製品改善や、ニーズに合ったコンテンツの企画・提供につなげるための重要なステップとなります。

社内情報を見直す

顧客解像度を高めるためには、新たな調査だけでなく、すでに社内に蓄積されている情報を見直すことも有効です。日々の業務の中で自然に集まっている情報を活用すれば、ネット上では得られないリアルな顧客像に近づくことができます。

社内情報の例1:ツールに記録された情報

以下のような社内ツールには、顧客とのやり取りや行動の履歴が蓄積されています。

  • SFA(営業支援システム)

商談の議事録や営業メモなどから、顧客の関心や懸念点を把握できます。

  • CRM(顧客関係管理システム)

メールのやり取りや問い合わせ内容を通じて、顧客の具体的な課題や期待を読み取ることができます。

  • マーケティングオートメーションツール

顧客の反応や行動履歴から、検討状況や関心の高いテーマを把握することができます。

  • コールセンターの対応記録

通話内容の書き起こしや対応メモには、顧客の生の声が詰まっており、貴重なインサイトを得ることができます。

これらの情報は、すでにテキストデータとして記録されている場合が多く、改めて整理・分析することで、深い顧客理解につなげることが可能です。

社内情報の例2:社内知見者の持つ情報

営業担当者やカスタマーサポート担当者など、日々顧客と接している社員へのヒアリングも非常に有効です。彼らは、顧客からよく寄せられる質問や、現場で感じる課題を把握しており、データには表れにくい肌感覚を持っています。こうした知見を言葉にしてもらうことで、社内で共有可能な情報として活用できるようになります。

情報の蓄積と共有の仕組みを整える

顧客に関する情報が特定の社員の頭の中にとどまってしまうと、組織として知識の活用が進みません。情報は社内の誰もがアクセスできる仕組みの中で蓄積・共有できるようにすることが重要です。日々の業務の中で自然に顧客情報が蓄積されていく状態をつくることで、組織全体としての顧客解像度が継続的に向上していきます。

関連した本や雑誌を読む

「本や雑誌を読む」ことは、顧客解像度を高める上で非常に有効な手段の一つです。これは、顧客が抱える課題に関連するテーマの書籍や雑誌を体系的に読み込むことで、断片的な情報を整理し、顧客理解を深めることを目的としています。

具体的な実践方法としては、顧客が課題と感じているようなテーマに関する本や雑誌があれば、まとめて購入し、一通り目を通してみることが有効です。また、顧客に近い業種・業界の企業のIR資料や公開情報に目を通すこともかなり有効な方法です。

顧客解像度を起点に確かな事業判断を

どれほど優れたデータも、誰かが収集・加工した二次情報に過ぎません。自分の目と耳で得た情報こそが、顧客の本質的な課題や期待をつかむ鍵になります。顧客解像度を高めることで、顧客が本当に求めていることを的確に捉え、新規事業やサービスの立ち上げにも確かな方向性を持って取り組めるようになります。

私たちサイトエンジン株式会社でも、「ラクテス」の立ち上げにあたり、顧客の声を丁寧に拾い上げることで、開発やマーケティングの軸を明確にすることができました。顧客解像度の向上は、事業全体の成長にも直結します。

今日からぜひ、顧客解像度を高めるための一歩を踏み出してみてください!

嵯峨愛海

この記事を書いた人

嵯峨愛海

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