コンテンツ制作ブログ

デジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、
データ分析などに関するお役立ち情報を発信

工務店マーケティングで使える集客方法と顧客獲得アイデア

2025年5月9日

工務店のマーケティングとは、「家づくりをしたい多くの人たちに自社を知ってもらい、効率的に集客・受注をする仕組み、取り組み」を指します。大手ハウスメーカーとの競争に負けず、地域密着型で売り上げを伸ばしている企業もあります。工務店が押さえておくべきマーケティング手法や顧客獲得のアイデアをまとめました。
マーケティングは「費用をかけて広告を出すこと」ではありません。お客様のニーズを理解し、それに応える価値を提供し、長期的な関係を築くための全体的な活動です。次のセクションからは、工務店マーケティングの具体的な戦略と戦術について解説していきます。

工務店のマーケティング戦略立案

効果的なマーケティングを実施するには、まず戦略から考えることが大切です。闇雲に施策を実行するのではなく、全体の方向性を決めてから具体的なアクションに落とし込みましょう。

ターゲット設定

工務店が全ての人に訴求することは不可能です。地域内のどのような属性の人に向けて発信するかを明確にすることで、効果的なマーケティングが可能になります。

ターゲットを明確にするポイント:

  • 年齢層: 主にどの年代をターゲットにするか(例:30代〜40代の子育て世代)
  • 年収: どの程度の予算層をターゲットにするか(例:世帯年収700万円以上)
  • ライフスタイル: どんな生活を求めているか(例:自然と共生する暮らし、趣味を楽しむ空間)
  • 地域: どのエリアをターゲットにするか(例:自社から半径20km以内)
  • 家族構成: どのような家族をターゲットにするか(例:小さな子どもがいる4人家族)
  • 地域特有のニーズ: 気候や風土に関連する特有のニーズ(例:寒冷地での断熱性能への関心)

「高額の物なので」「年齢の高い方が多いので」といった固定概念にとらわれず、実際のデータや市場調査に基づいてターゲットを設定することが重要です。

「弊社お客様の成功事例ー地域特有のニーズへの対応」

L社が寒さの厳しい地域に拠点を置く点に着目し、地域住民の「防寒・断熱」に関するニーズにフォーカスしたコンテンツを作成しました。断熱窓、二重窓、断熱材、断熱シート、防寒、結露などの関連キーワードを網羅的に洗い出し、戸建てと関連の深い要素を体系的にコンテンツ化しました。

その結果、これらのキーワードからの検索流入と問い合わせが大幅に増加し、地域ニーズに根ざしたマーケティングの成功例となりました。地域の気候風土や生活習慣に基づいた独自のニーズを見つけ出すことが、地域密着型工務店の強みになります。

ターゲットを明確にすることで、発信するメッセージや使用するチャネルを効果的に選択できます。

マーケティングファネルの理解

マーケティングファネルとは、お客様が「知らない」状態から「契約」に至るまでのプロセスを漏斗(じょうご)の形に例えたものです。工務店のマーケティングファネルは以下のように整理できます:

  1. 認知: お客様が自社の存在を知る段階
  2. 情報収集: 家づくりについて調べ始め、自社サイトやSNSを閲覧する段階
  3. 行動: 見学会や相談会に参加するなど、具体的な行動を起こす段階
  4. 比較検討: 複数の工務店の中から選定を進める段階
  5. 購入(契約): 最終的に自社を選び、契約に至る段階
  6. 拡散: 満足いただき、口コミやSNSで紹介してくれる段階

各段階に応じた適切な施策を展開することが重要です。
認知の段階に関してはどのような媒体を利用して自社の情報を露出するのかを考え、タウン誌や、SNSなどの媒体で自社の情報発信を行います。
情報収集をしているユーザーには助成金などの情報、比較検討を行うユーザーには他社との違いを明確にするコンテンツなどが必要となります。
ユーザーのステージに合わせた対策を行うことで、効率的に見込み客を獲得し、成約に結びつけることができます。

自社の強みの理解

大手ハウスメーカーや地域周辺の工務店との差別化が重要です。これらは広告、自社コンテンツ、地域アピール、カタログ製作など、すべての面で「何を売り込むか」という重要なポイントになります。自社の強みを明確にし、それを軸にマーケティングを展開しましょう。

工務店の差別化ポイント例:

  • 地域性: 地域の気候や風土に合った家づくりの専門性
  • 柔軟性: お客様の要望に柔軟に対応できるカスタマイズ力
  • 技術力: 特定の工法や素材における高い技術力
  • アフターケア: 地域密着だからこそできる迅速で丁寧なアフターフォロー
  • デザイン性: 特徴的なデザインや空間提案力
  • 比較情報の提供: 各メーカーの商材を公平に比較した情報提供
  • 取扱商品:各メーカーの商材で自社が取り扱いにたけているもの

特に各メーカーが共通の機能を持つ商材(窓、断熱材、床材など)を扱う場合は、わかりやすい比較情報を提供することで、ユーザーの意思決定を助け、信頼性を高めることができます。中立的な視点での情報提供は、専門家としての価値を示すことにつながります。

戦略を立てる際は、マーケティングファネルの各段階でどのようにターゲットにアプローチし、どのように自社の強みを伝えるかを検討しましょう。次のセクションでは、具体的な集客方法について解説します。

オンラインによる工務店の集客方法

どのようなお客様が、どのような状態にあるかを理解し、自社の何をアピールするかを決めた後は、実際の集客に取り組みます。工務店の集客は大きく「オンライン集客」と「オフライン集客」に分けられます。

1. ホームページ・ブログによるSEO対策

「工務店 地域名」「注文住宅 地域名」などのキーワードで検索したときに、自社サイトが上位表示されるよう対策することは、Web集客の基本中の基本です。

効果的なSEO対策のポイント:

  • 地域名+工務店関連キーワードでの最適化
  • 施工内容やサービス名を検索キーワードとして想定したコンテンツ作成
  • 施工事例やブログの定期的な更新
  • ユーザーが知りたい情報(家づくりの流れ、費用相場など)の提供
  • モバイルフレンドリーな設計

SEO対策は即効性はありませんが、長期的に安定した集客が期待できます。特に重要なのはサービスのページです。
新築、2世帯住宅、エクステリア、平屋、コンパクト住宅、リフォームなど自社のサービスや商材の内容は特にしっかりとページを分けて作成します。まれに1つのページにサービス内容をまとめてしまっている場合がありますが、コンテンツの内容があやふやになり、検索結果に表示されにくくなります。手間がかかってもしっかりとサービスごとのページを作りこむようにしましょう。

2. Googleビジネスプロフィールの作成

https://www.google.com/intl/ja_jp/business

Googleマップに自社情報を登録し、「地域名 工務店」などで検索した際に上位表示される対策です。地図とともに表示されるため、地域で工務店を探しているユーザーへのアプローチに効果的です。

効果的なMEO対策のポイント:

  • 基本情報(住所、営業時間、電話番号など)の正確な登録
  • 質の高い写真の掲載
  • 口コミの積極的な収集
  • 投稿機能を活用した情報発信

Googleマップ検索結果にしっかりと対応しておくことは、地域に根ざした工務店にとって特に重要な施策です。実際に、「地域名 工務店」で検索するユーザーの多くが地図検索結果を参照するという調査結果もあります。

3. SNSマーケティング

※インスタグラムで「横浜 新築」と検索すると表示されるハウスイズム建築設計事務所様の事例
https://www.instagram.com/house_ism/?locale=ja_JP

InstagramやFacebookなどのSNSは、工務店の魅力を視覚的に伝えるのに最適なツールです。特にInstagramは建築・インテリア分野との相性が良く、多くの工務店が活用しています。「高額の物だから」「顧客は年配層が多いから」といった固定観念にとらわれず、SNSを積極的に活用しましょう。特に、SNSを検索代わりに使うユーザーは年々増加しており、「インスタで工務店を探す」という行動も珍しくありません。

地域密着型の工務店にとって、SNSでの近隣エリアでの活動報告は信頼性向上に大きく貢献します。地域住民が知っている店舗や施設の施工事例があれば、それだけで地域での信頼を得ることができます。「○○市の△△商店街のリフォームを担当しました」「地元の□□小学校の木製遊具を製作しました」など、地域に根ざした活動をSNSで発信することで、「この町の工務店」としてのイメージを強化できます。

リールやIGTVなどの動画コンテンツは特に効果的で、工務店の雰囲気や家づくりの様子を伝えられます。

各SNSの投稿アイデア

Instagram

  • 施工事例の美しい写真投稿
  • 工事過程や職人技術の紹介
  • リールを活用した短い動画コンテンツ
  • ストーリーズでの日常的な投稿

Facebook

  • 会社情報や実績の詳細な紹介
  • イベント告知と参加者募集
  • 地域情報との連携

LINE(見学会などのリアルイベントで登録してもらうのが前提)

  • イベント告知や最新情報の配信

YouTube

  • 施工事例のルームツアー動画
  • 家づくりのノウハウや知識を解説する動画
  • 施工中の様子や完成後の暮らしぶりを伝える動画
  • 会社紹介や職人の技術を紹介する動画

4. リスティング広告・SNS広告

即効性を求めるなら、Google広告やSNS広告などの有料広告も効果的です。特定のキーワードや属性でターゲティングし、見込み客にアプローチできます。
地域や年齢、ターゲットを絞り込み、予算に応じて出向金額の規模を調整できるため、小規模な工務店5.始めやすい集客方法です。

5. 比較サイト・ポータルサイトの活用

SUUMOの工務店比較ページ例 https://suumo.jp/chumon/rank/koumuten/14/dn_yokohama/

SUUMOLIFULL HOME’SHouzzなどの住宅ポータルサイトや比較サイトは、多くの見込み客が利用する重要なチャネルです。これらのサイトを効果的に活用することで、自社単独では難しい広範囲の集客が可能になります。

ポータルサイト活用のポイント

1.掲載情報の充実

  • 基本情報(会社概要、対応エリアなど)の正確な記載
  • 施工事例の質と量の充実
  • お客様の声や評価の積極的な掲載
  • 自社の特徴や強みの明確な説明

2.差別化要素の強調

  • 他社との違いが一目でわかるポイントの強調
  • 実績や受賞歴などの信頼性を高める情報の掲載
  • 特定の住宅タイプや工法などの専門性のアピール

3.問い合わせ対応の迅速化

  • ポータルサイト経由の問い合わせへの素早い対応
  • 資料請求者への丁寧なフォローアップ
  • 自社サイトへの誘導と詳細情報の提供

比較サイトに掲載する際は、他社と同じテンプレートの中でいかに自社の魅力を伝えるかが重要です。競合との差別化ポイントを明確にし、見込み客の興味を引く工夫をしましょう。

6. ダウンロード資料の活用

工務店への依頼は「ぽっと思いつき」ではなく、時間をかけて検討から注文に至るケースが一般的です。そのため、メールアドレスなどの連絡先と引き換えにダウンロードできる資料を用意することで、見込み客の情報を獲得し、継続的なアプローチが可能になります。

ダウンロード資料の作成例:

  • 家づくりの予算計画ガイド
  • 年代別の家づくり成功事例集
  • 工務店選びのチェックリスト
  • 間取り計画の基本と実例集
  • 住宅ローンの選び方ガイド

見込み客のメールアドレスを獲得したら、定期的な情報提供を行い、徐々に信頼関係を構築していきましょう。これは「顧客の育成(リードナーチャリング)」と呼ばれる重要なマーケティング戦略です。

サイトエンジンホワイトペーパー作成サービスはこちら

オフラインによる工務店の集客方法

1. 住宅展示場・モデルハウス

住宅展示場やモデルハウスは、工務店の技術力や提案力を直接体感してもらえる貴重な場です。ただ出展するだけでなく、効果的に活用することが重要です。

効果的な展示場・モデルハウス活用のポイント:

1.自社の強みをしっかりと伝える

  • デザイン
  • ターゲット層のニーズや憧れを反映した間取り
  • 実際の暮らしがイメージできる
  • 内装・設備

2.定期的なイベント開催

  • 季節ごとの見学会やセミナー
  • 子ども向けワークショップなど家族で参加できる企画
  • リフォームや省エネなど特定テーマの相談会

3.フォローアップ体制の構築

  • 来場者への定期的な情報提供
  • 個別の要望に応じた提案資料の作成
  • 適切なタイミングでの再訪問の促し

モデルハウスは維持費がかかる投資ですが、適切に運営すれば継続的な集客の要となります。

2. 完成見学会・イベント

モデルハウスがない場合でも、完成した物件の見学会や家づくりセミナーなどのイベントを通じて見込み客との接点を作れます。

効果的なイベント開催のポイント

1.完成見学会

  • 実際の暮らしを想像できるようなポイント解説
  • 参加特典の用意(プラン作成割引など)

2.家づくりセミナー・相談会

  • 資金計画や土地探しなど、家づくりの不安解消につながるテーマ設定
  • 専門家(税理士、インテリアデザイナーなど)とのコラボレーション
  • 少人数制による質問しやすい環境づくり
  • オンラインとオフラインのハイブリッド開催

3.イベント告知の工夫

  • ホームページ、SNS、メルマガなどでの事前告知
  • チラシや新聞折込による地域へのアプローチ
  • 過去のイベント参加者への直接案内

イベントは月に1回以上の頻度で開催し、常に見込み客との接点を持てるようにしましょう。スケジュールが合わず、なかなか参加できないというユーザーもいます。早めにイベント告知を行うことと、継続的に開催することが重要です。

    信頼向上のためのコンテンツの重要性

    検索での上位表示は重要ですが、工務店業界は比較されやすい業種です。そのため、自社サイトにユーザーを誘導するためのSEOコンテンツだけではなく、サイトを訪れたユーザーが自社を信頼してくれるようになるような、信頼向上のためのコンテンツが重要となります。
    最も避けたい失敗は、広告やSEOコンテンツの作成など、集客の手を打っているのにユーザーの信頼を獲得できず問い合わせにつながらない、という失敗です。

    お客様の声(インタビュー)やQ&A、補助金情報、自社スタッフ紹介、各メーカーの商材紹介など、自社の実績や知識をアピールするコンテンツでユーザーの信頼を醸成しましょう。これらは見込み客の検討を後押しし、成約率向上に貢献します。

    「弊社お客様の成功事例ーお客様アンケートの画像化」

    お客様の声は信頼醸成に欠かせません。施工事例とお客様の声がセットになっているとなおいいです。お客様の声だけではなく、信頼性をあげるために手書きのアンケート回答などを写真で載せるのも有効です。
    こうした画像は明確なSEO効果が得られるわけではありませんが、お客様の声が本物だという証明にもなります。M工務店様は10年以上にわたり、アフターケアの際にお客様のご意見をおはがきでもらっていました。そこにある感謝の声をお客様のご同意のもと、すべて文字起こししたうえで、写真でも掲載したところ、お客様の声を経由したユーザーのコンバージョンレートが大きく上がりました。

    まとめ

    オンラインマーケティングは技術の進化と共に常に変化しています。最新のトレンドや手法を取り入れながら、自社に合った戦略を構築していきましょう。
    サイトエンジンでは、リフォームや新築、二世帯住宅などを取り扱う工務店様のウェブマーケティングやコンテンツ制作をサポートしてまいりました。「ウェブマーケティングに行き詰ってしまった」「何をしたらいいかわからない」「取り組んでいるが成果が出ない」というお悩みをお抱えの際はぜひお気軽にご相談ください。

    橋本直矢

    この記事を書いた人

    橋本直矢

    メディアディレクター/SEOコンサルタント 雑誌広告、ECなど紙媒体とデジタル双方でリッチコンテンツの制作に10年以上携わりました。出版社の紙媒体からデジタル媒体への移行や、採用系メディア、医療、IT、金融、投資など幅広いメディアのディレクションを担当しています。

    CONTACT

    お問い合わせ