Power BIは、個人のデータ分析から企業全体の情報共有まで幅広く活用できるBIツールです。しかし、無料プランから有料のPro・Premiumなど複数のプランが存在し、用途や規模によって適した選び方が異なります。本記事では、プランによる主な機能の特長や違い、選定時のポイントを分かりやすく解説します。
目次
Power BIは無料で使える?
Power BI Desktopは、無料でインストールして利用できます。データの接続や変換、レポート作成など、個人のデータ分析に必要な基本機能は備わっています。ただし、無料版は個人利用向けであり、組織内でのレポート共有やアクセス権の制御といった機能はありません。自社の業務範囲が無料プランで十分か、有料ライセンスが必要になるのかは、導入前に確認する必要があります。
以下のリンクより、ダウンロードとインストールが可能です。
Power BIのプラン比較
2025年7月1日時点における、Power BIの料金プランは、以下の4つに大別されます。記載の料金は、年払いを選択した場合の月額換算額です。月払いの場合や最新の価格については、公式サイトよりご確認ください。
無料アカウント
Power BI Desktopを誰でも無料で利用できます。レポートの作成や個人での分析が中心です。
Power BI Pro
月額2,098円(税抜、年払い時の月額換算)。レポート共有やチームでのコラボレーションに必要な機能が利用できます。
Power BI Premium Per User(PPU)
月額3,598円(税抜、年払い時の月額換算)。Proの全機能に加え、大規模なデータモデルや高度な自動化、より頻繁なデータ更新などPremiumの特典が使えます。
Power BI Embedded
従量課金制。主に開発者や組織向けで、独自のWebサービスやアプリケーションへPower BIのレポートやダッシュボードを組み込む用途に適しています。Microsoft Azure経由の容量プランで、料金は月間リソース使用量によって変動します。
無料プラン(Power BI Desktop)の機能
Power BI Desktopは、Windows向けに無料で提供されているBIツールです。数多くのデータソースへの接続に対応し、Power Queryによるデータ変換やモデリング、DAXを使った計算、PythonやRなどのプログラミング言語による分析、豊富なグラフ作成機能など、個人のデータ分析に必要な基本機能がそろっています。
作成したレポートはPowerPoint、PDF、Excel形式でエクスポートしたり、URLを発行してWebに公開したりできます。ただし、社内限定での安全なレポート共有や、チームメンバーとの同時編集には対応していません。そのため、個人での分析や少人数での利用に限定するのが適しています。
Power BI Proの機能
Power BI Proは、チームや組織でのレポート共有や共同作業に対応した有料ライセンスです。Proユーザー同士でダッシュボードやレポートを安全に共有でき、関係者による閲覧やコメントも可能です。また、スケジュールリフレッシュ機能により、レポートのデータを自動で最新化できます。
作成したレポートはPDFや印刷での配布、Microsoft Teams経由での共有にも対応しています。さらに、行レベルセキュリティで閲覧権限を細かく設定でき、Microsoft 365との連携によって、モバイルデバイスでの閲覧も行えます。このように、組織でリアルタイムな情報共有や共同分析を実現するために必要な機能が揃っています。
Power BI Premium Per User(PPU)の機能
Power BI Premium Per User(PPU)は、より大容量のデータや高度な分析機能を個人単位で利用したい担当者向けの有料プランです。Power BI Proの全機能に加え、1データセットあたり最大100GBの大規模なデータ量や、高度なAI分析を活用したレポート作成、レポートの自動更新回数の増加、アクセス権限の細かな設定など、Premium専用の拡張機能が利用できます。また、長いレポートをページごとに分割して印刷できる「ページネーション対応レポート」のように、企業での本格的な分析業務を支える機能が利用できます。
Power BI ProとPPUの違い
Power BI Proは、レポートの作成や共有、データ更新のスケジュール管理、基本的なセキュリティ設定など、一般的な業務分析やチーム内での共同作業に適した基本機能を備えています。一方、PPUはProの機能に加えて、より大容量のデータセットへの対応、AIによる自動分析やインサイト抽出、ページごとの帳票出力、効率的なデータの自動更新など、企業規模の本格的な分析業務を想定した高度な機能を利用できます。このような違いがあるため、日常的な業務分析にはPro、より複雑な分析や大規模データ運用、高度なAI活用を行いたい場合にはPPUの導入が推奨されます。例えば、データの自動更新については、Proでは1日8回までと制限されていますが、PPUでは1日に最大48回行うことが可能です。
Power BI Embeddedの概要
Power BI Embeddedは、開発者やソフトウェアベンダーが自社のWebサービスやアプリケーション内に、Power BIのグラフやレポートを直接組み込むための専用プランです。利用者はアプリを移動することなく、組み込み先の画面上でPower BIのデータ可視化を利用できます。アプリやサービスを利用するユーザーはPower BIの個別ライセンスを持っていなくてもレポート閲覧が可能ですが、レポートの作成や埋め込みにはPower BI ProまたはPPUライセンスが必要です。
利用シーンとしては、「アプリ経由で顧客向けにデータを配信したい場合」と、「社内向けに認証されたユーザーにデータを表示したい場合」の2通りがあります。外部サービスとの連携や、大規模な自社アプリにBI機能を組み込みたい場合に最適な選択肢です。
料金は、仮想マシンの処理能力やメモリ容量に応じて決まり、ノードごとの月額または時間単位の従量課金制です。利用規模や稼働時間に応じてコストが変動します。
無料・有料プランの選び方
Power BIには、用途や利用規模に応じて複数のプランがあります。選ぶ際には「誰が」「どのくらいの人数で」「どのような目的で」データを活用したいのかを明確にすることがポイントです。例えば、社内で特定の部門や担当者のみ高度な分析が必要な場合はPPU、チーム内での共有が主目的ならProが適しています。コストと活用範囲のバランスを考え、必要最小限の投資で最大限の効果が得られるプランを選ぶことが重要です。
まとめ
Power BIは、無料から有料まで多様なプランを備え、個人利用から企業全体での本格的なデータ活用まで幅広く対応できるBIツールです。プランごとに利用可能な機能や共有範囲、データ容量、コストが異なるため、導入前には自社の活用目的や利用人数、求める機能を明確にすることが重要です。最適なプランを選ぶことで、コストを抑えつつ業務効率や意思決定の質を高めることが可能になり、Power BI活用の成功につながります。
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