社内データの可視化やレポート作成を効率化できるBIツールとして、多くの企業でLooker Studioの導入が進んでいます。Googleアカウントがあれば誰でも無料で利用できることに加え、直感的な操作性や多様なデータソースとの連携が可能です。一方で、組織単位での管理や自動化された情報共有、より強固なセキュリティ体制を必要とする場合には、有料のPro版も選択肢となります。本記事では、無料版とPro版の違い、それぞれの機能やメリット、最適な選び方についてわかりやすく解説します。
目次
Looker Studioは無料で使える?
Looker Studioは、Googleが提供するBIツールです。Googleアカウントがあれば、無料ですぐに使い始めることができ、ダッシュボードの作成や共有も制限なく行えます。マーケティングや広報、データ分析の担当者にとって、コストをかけずに社内データの可視化や共有を始められる点が大きな利点です。複数のデータソースと接続でき、基本的なレポート機能も備えているため、中小企業や個人事業者にも適した選択肢となります。
無料版の基本機能と特徴
無料版のLooker Studioでは、専門的な開発スキルを持っていなくても、直感的な操作でレポートを作成できます。GA4やGoogleスプレッドシート、Google広告など、主要なGoogleサービスをはじめとするデータソースと接続でき、ドラッグ&ドロップでグラフや表を自由に配置可能です。また、複数ページで構成されたダッシュボードの作成や、フィルター・スライサーを活用した柔軟なレポート設計にも対応しています。完成したレポートは、URLでの共有、PDFでの出力、Webサイトへの埋め込みなど、用途に応じた方法で社内外へ展開できます。
Looker Studio Pro(有料版)の料金と追加機能
Looker Studio Proは、Googleが提供する有償プランで、2025年7月1日時点の料金は、プロジェクトのユーザー1人あたり月額9ドルです。個人や少人数での利用にとどまらず、チームや組織全体での運用を想定して設計されており、企業のセキュリティ要件や業務効率化のニーズに対応した機能が充実しています。
Pro版の課金モデル
Looker Studio Proでは、一般的なユーザー単位の定額課金に加えて、特に大規模な組織向けに月間アクティブユーザー(MAU)課金モデルも用意されています。これは、その月に一度でもPro機能を利用したユーザーのみを対象に費用が発生する仕組みで、全従業員分のライセンスを一律で契約する必要がありません。例えば、業務によって利用頻度に波がある部門や、プロジェクト単位でメンバーが変動するようなケースでは、実際にLooker Studio Proを活用した人数分だけを柔軟にカウントできるため、コスト効率の面で大きなメリットがあります。このMAU課金はGoogle Cloudの営業担当者を通じて契約内容を調整できるため、組織ごとの運用実態に合わせた最適な料金プランを選択することが可能です。
Pro版の主な追加機能
Looker Studio Proでは無料版の機能に加えて、企業や部門単位での運用に適した高度な管理やコラボレーション環境を提供します。以下、追加機能について解説します。
Team workspaceによる組織管理
Pro版ではTeam workspaceが利用でき、組織単位でレポートやデータ資産をまとめて管理できます。役割ごとに権限を一括で割り当てられるため、チームや部門ごとの運用管理がしやすくなります。また、作成したコンテンツは「組織所有」として扱われ、メンバーが退職しても所有権の移管手続きが不要となり、安定した資産管理を継続できます。
強化されたレポート自動配信機能
レポートの自動配信機能が拡張され、1つのレポートにつき最大20件までスケジュールを設定可能です。配信先はメールだけでなくGoogle Chatにも対応しており、宛先ごとに内容をフィルタリングして送信できます。これにより、部門別や担当者別に必要な情報だけを届ける運用が簡単になります。
Personal report linkの発行
閲覧者ごとに編集可能なPersonal report linkを発行でき、オリジナルのレポート本体は変更不可にしながら、利用者ごとにカスタマイズしたコピーで作業できます。元レポートの品質を維持しつつ、安全かつ柔軟なデータ活用を推進できます。
モバイルアプリでの利用
スマートフォンやタブレット用のモバイルアプリに対応しています。これにより、外出先や現場からでもダッシュボードを確認でき、必要に応じてモバイル専用ビューとデスクトップビューを切り替えられます。現場業務の多い営業部署や中小企業でも、タイムリーな意思決定を支援します。
GeminiによるAI機能の統合
GoogleのAI「Gemini」との連携機能も搭載されています。自然言語での計算フィールド作成や、Looker Studioで作成した図表をGoogle Slidesに直接挿入する機能、対話型のデータ探索など、AIを活用したデータ分析と可視化がさらに効率化されます。
無料版・Pro版の比較と選び方
プラン選択の際は、自社の運用目的やチーム体制を踏まえ、無料版とPro版のどちらが適しているかを判断することが重要です。まずは無料版から試し、必要に応じてPro版への移行を視野に入れるのも現実的な選択肢です。以下の見出しで、それぞれのプランがどのようなケースに適しているかを具体的に紹介します。
無料版が向いているケース
個人や少人数のチームで、データの可視化や分析をまず試してみたい場合は、無料版が適しています。特定の担当者が自分専用のダッシュボードを作成したい場合や、レポートの定期配信や細かなアクセス権管理が必要ない場合には、シンプルな運用で十分対応できます。導入や運用のハードルが低いため、スタートアップやフリーランス、社内のパイロットプロジェクトなど、予算やリソースに限りがあるケースにも適しています。
Pro版が向いているケース
複数人でダッシュボードを運用したい場合や、組織的な管理・セキュリティが求められる環境では、Pro版の活用が効果的です。特に「部署やプロジェクトごとに権限を分けて運用したい」「社内外の関係者と定期的かつ自動的に情報を共有したい」といったニーズがある場合に適した選択肢です。さらに、組織の成長やチーム規模の拡大に伴い、個人や無料版の枠組みではカバーしきれなくなった管理面や運用効率の課題にも柔軟に対応できます。
まとめ
Looker Studioは、無料で手軽に始められる可視化ツールとして多くの企業や個人に利用されていますが、組織的な運用やセキュリティ強化、自動配信など高度なニーズにはPro版が有効です。自社の体制や運用目的に合わせてプランを選択することが重要です。プランの選択や運用に迷う場合や、自社での導入・活用に不安がある場合は、外部の支援サービスを活用するという選択肢もあります。専門家のサポートを受けながら進めることで、よりスムーズに業務効率化やデータ活用を実現できます。
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