Webサイトの改善や施策の振り返りのためには、アクセス解析レポートの作成が欠かせません。ユーザーの行動データを見える化し、社内やクライアントと共有することで、納得感のある改善提案や、根拠ある意思決定ができるようになります。本記事では、GA4(Googleアナリティクス4)によるアクセス解析レポートの基本から、Looker StudioやPower BIなどのBIツールを活用した実践的なレポート作成・運用のポイントまで、分かりやすく解説します。
目次
アクセス解析レポートとは?
アクセス解析レポートとは、Webサイトを訪れたユーザーの行動や成果を数値で可視化し、チームや関係者と共有するための資料です。GA4や各種ログ解析ツールを活用し、「いつ」「どこから」「どのページに訪問し」「どのような行動を取ったか」といったユーザーの動きをまとめます。代表的な指標には、ユーザー数、イベント数、平均エンゲージメント時間などがあり、これらを基に流入経路やページ遷移、コンバージョンの状況を把握します。
アクセス解析レポートの活用例
アクセス解析レポートは、サイト運営の改善や広告施策の効果測定、経営会議での報告資料など、企業活動のさまざまな場面で活用されます。例えば、離脱率の高いページを特定し、UIや導線を見直すことで、ユーザー体験の向上につなげる施策に活かすことができます。
加えて、広告施策の評価にもアクセス解析レポートは有効です。流入チャネルごとのコンバージョン率を可視化し、媒体ごとの費用対効果を比較することで、より効率的な広告運用を実現できます。
全体構成と項目例
アクセス解析レポートは、「導入」「サマリー」「詳細分析」「改善提案」の4つのパートで構成するのが一般的です。特にGA4を用いたアクセス解析では、流入元やユーザー属性、各コンテンツのエンゲージメント指標などを軸に、目的に応じた分析を行い、課題を発見することが求められます。
以下、それぞれのパートについて詳細に説明します。
導入:レポートの目的と対象の提示
冒頭では、レポートを作成する目的、対象期間、分析対象、想定読者を明確に示すことが重要です。目的が施策の効果測定なのか、課題の抽出なのかによって、注目すべき指標の種類や求められる分析の深さが異なります。
また、誰が見ることを想定したレポートであるのかによっても、必要な粒度や表現方法が変化します。こうしたポイントを導入部分で明記することで、初めてレポートを読む人でも内容を把握しやすくなり、納得感が高まります。
サマリー:主要指標の可視化
セッション数、ユーザー数、直帰率、平均エンゲージメント時間(滞在時間)、コンバージョン数などの主要指標を、一覧やグラフで分かりやすく可視化します。これによって現状のパフォーマンスを直感的に把握しやすくなり、レポート全体のイントロダクションとして機能します。
さらに、前月比や前年比などの比較データを併記することで、期間ごとの変化や傾向が一目で分かり、課題の発見や今後の改善策の立案に役立ちます。特に複数の部署や拠点が関与する場合、こうした定量データのサマリーは共通認識の形成に重要な役割を果たします。
詳細分析:チャネル・ページ・ユーザー動向の深掘り
流入チャネル(検索エンジン・SNS・広告など、何を経由してアクセスしたのか)、ページ別(商品ページ、ブログ記事など)、デバイス別(PC/スマートフォン)、検索キーワード別、ファネル(離脱や遷移の流れ)などの情報から、ユーザー行動を多角的に分析します。表面的な数値の把握にとどまらず、多角的な視点から深掘りすることで、具体的な改善策につながるインサイトを引き出せます。
例えば、検索エンジンからの流入が減少している場合は、検索順位やクリック率、インプレッション数といった指標から要因を探ります。直帰率が高いページについては、コンテンツの質やページの読み込み速度、ユーザーインターフェースに問題がないか確認が必要です。
改善提案:課題の可視化と次の一手
詳細分析で見つかった課題に対して、具体的な改善施策を提示します。先ほど挙げた例だと、検索エンジンからの流入が減少している場合は、ページタイトルやメタディスクリプション、コンテンツ内容を見直すことが必要になります。直帰率が高いページには、ファーストビューの見直しや導線設計の改善、読み込み速度やユーザー体験(UX)の向上を検討します。
施策の優先順位は、改善効果の大きさと実行コストを考慮して決定します。さらに、施策ごとに達成目標となるKPIを明記しておくことで、次回レポートで改善施策の効果を検証しやすくなり、継続的なPDCAサイクルの推進につながります。
GA4によるアクセス解析レポート
アクセス解析ツールの代表例として挙げられるGA4は、ユーザーの行動データを収集・可視化し、レポートとして活用できるプラットフォームです。イベントベースのデータモデルにより、ページ閲覧やクリック、コンバージョンなどを柔軟に記録・分析できるのが特長です。GA4では、ユーザー数・セッション数・平均エンゲージメント時間・コンバージョン数など、主要なKPIがあらかじめ定義されており、アクセス解析レポートの作成に必要な基本指標を標準レポートで把握できます。
GA4のレポート機能の活用
GA4には、分析目的に応じて使い分けられる2種類のレポート機能が用意されています。標準レポートにはユーザー獲得やエンゲージメント、コンバージョンなどの主要指標が自動的に集計されます。サイト全体のパフォーマンス把握や、期間、対象を変えた週次・月次レポートの作成に適しています。
一方、探索レポートは、標準レポートより自由度が高く、分析項目のカスタマイズが可能です。例えばファネル分析による途中離脱ポイントの特定や、ユーザー属性・デバイス別の行動比較、ランディングページごとのコンバージョン分析など、目的に合わせた切り口で詳細に検証できます。条件設定も柔軟なため、検証したい内容ごとに分析手法を変更し、レポートの説得力を高められます。
BIツールを用いたレポート作成
GA4は高機能なアクセス解析ツールですが、複数サイトの横断分析や、顧客情報・広告・売上といった他のデータとの統合分析には限界があります。これらの課題を補完する手段として、BIツールの活用が広がっています。
BIツールを利用することで、GA4のデータとともに、社内外のさまざまなデータソースを一元的に管理・集計し、KPIや部門ごとの指標を可視化できます。これにより、個別データにとどまらず、俯瞰的かつ戦略的な視点で意思決定が可能となります。また、レポートの定期更新や自動共有など運用の自動化も実現し、担当者の負担軽減と迅速な情報共有につながります。
代表的なBIツールとしては、Looker StudioやPower BIなどが挙げられます。以下、それぞれの特徴を紹介します。
Looker Studioの特長
Looker Studioは、複数のデータソースを1つのダッシュボードで可視化できる、Googleが提供する無料のBIツールです。GA4やSearch Console、Google広告など、Googleが提供するサービスとの親和性が高いことが特徴です。直感的なドラッグ&ドロップ操作でグラフやテーブルを作成できるため、専門的な知識がなくても視覚的なレポートを作成できます。
特にGA4と連携することで、セッション数や流入チャネル、コンバージョン率などの主要指標をリアルタイムに集計・表示でき、定例レポートも効率よく自動更新が可能です。さらに、Google広告のデータと連携することで、広告経由のユーザーがサイト内でどのような行動を取ったのか、Search Consoleと連携することで「検索クエリごとの流入はどうか」といった、複合的な分析を1つのレポートで実現できます。
作成したレポートはURLを発行して共有できるほか、PDFとしてエクスポートしたり、定期的にメールで自動送信したりすることも可能です。社内メンバーやクライアントに常に最新の情報を手間なく届けられるため、資料作成や情報共有にかかる業務工数の削減にもつながります。
Power BIの特長
Power BIは、Microsoftが提供するBIツールで、GA4などの外部サービスや社内の業務データベースと連携し、多様なデータの統合分析を実現します。アクセス解析だけでなく、広告成果データやCRM(顧客管理システム)、売上データなどを組み合わせることで、Web行動から営業・売上までのファネル全体を可視化できます。
例えば、特定の流入チャネルから訪問したユーザーが、どの営業担当につながり、どの商談フェーズを経て成約に至ったのか、といった事業成果までを分析できます。これにより、単なるアクセス指標の可視化を超えて、実際の事業成果に直結する施策評価やKPI管理が可能となります。
Power BIの運用面の特徴としては、使用状況メトリックという標準機能が挙げられます。これは、誰がどのレポートをどれだけ閲覧しているかを把握し、レポートとして出力するものです。この機能の活用により、メンバーごとのレポート活用状況を可視化でき、チーム内の情報共有や意思決定プロセスの改善につながります。それ以外にも共有リンクの発行、閲覧権限の細かな設定、モバイルデバイスへの対応など、実務フローに合わせた柔軟なレポート配信のための機能が充実しています。
アクセス解析レポートテンプレートの活用
アクセス解析レポートをゼロから設計・作成するのは、専門知識が求められるうえ、時間や手間もかかる作業です。初めてBIツールに触れる方や、少ないリソースで質の高いレポートを作成したい場合は、既成テンプレートの活用をおすすめします。テンプレートを使えば、内容を伝えるための要素を押さえたレポートを作成でき、レポート運用のハードルを下げることができます。
GA4と連携したLooker StudioやPower BIのテンプレートでは、ページごとのパフォーマンスや流入チャネル別の動向、コンバージョンの発生状況など、主要指標が自動で可視化されます。グラフやレイアウト設計もすでに組み込まれているため、データ接続を行うだけですぐに分析を開始できます。
サイトエンジン株式会社では、GA4と連携済みのLooker Studio・Power BIテンプレートのサンプルを無料で公開しています。下記の資料ダウンロードページより入手可能です。
また、Looker Studioで使用可能なテンプレートとして、GA4とSearch Consoleのデータを組み合わせ、オウンドメディアの流入状況やユーザー行動を把握できる「オウンドメディア検証レポート」もございます。

こちらのレポートは、サンプルをそのままご購入いただけます。貴社に応じたデータや分析項目を追加し、独自のレポートテンプレートを作成することも承ります。詳細については、サービスページをご覧ください。
まとめ
アクセス解析レポートによるユーザー行動の可視化は、Webサイトの改善や戦略立案を推進するために不可欠な事項です。GA4の標準機能に加え、Looker StudioやPower BIなどのBIツールを活用することで、より多角的で説得力のあるレポートを効率的に作成できます。テンプレートの活用も取り入れながら、誰にでも分かりやすいレポートを作成し、データに基づく意思決定を加速させましょう。
サイトエンジン株式会社では、Looker Studio・ Power BIを用いたデータ分析・可視化支援サービスを提供しております。BIツールの導入をご検討中の方や、広告レポートのテンプレートを入手したい方は、下記サービスページよりお気軽にお問い合わせください。
データ分析・可視化支援サービス ― Looker Studio / Power BIによるレポート作成支援
また、当サービスに関する資料は下記よりダウンロードできます。こちらも併せてご覧ください。