BIツールは、膨大なデータを基にした意思決定を支援する重要な存在です。しかし、目的を明確にしないまま「なんとなく導入」してしまうと、活用されずに終わるケースも少なくありません。また、社内に合わないツールを選んでしまうと、コストばかりが膨らみ、現場の混乱を招くおそれもあります。この記事では、BIツール選定時に押さえるべき基準を整理し、失敗を防ぐための視点を提供します。さらに、具体的なBIツールもいくつかご紹介します。自社の課題や運用体制に適したツールを選ぶことで、データ活用の第一歩を確実に踏み出しましょう。
目次
BIツールの役割と導入目的の明確化
BIツールは、企業データを収集・分析・見える化し、ビジネス上の意思決定を支援するツールです。これにより、データに基づいた迅速かつ適切な判断が可能になります。BIツール選定では、まず導入目的の明確化が重要です。経営ダッシュボードの構築、広告効果の測定、業務改善の可視化など、目的によって必要な機能や接続データは大きく異なります。ゴールが曖昧だと選定基準がブレるため、自社の課題を明確にし、BIツールに求める役割を定義することが選定の起点となります。
BIツール選定時の必須チェックポイント7つ
最適なBIツール選定には、複数の観点からの評価が不可欠です。具体的には、①機能、②操作性、③データの扱いやすさ、④AI機能、⑤コスト、⑥拡張性、⑦サポート体制の7点です。これらは導入後の利便性や定着率に直結します。各観点を定量・定性的に比較し、自社ニーズと照らし合わせることで選定精度が高まります。以下で各ポイントを詳しく解説します。
機能
BIツールは部門ごとのニーズに対応した機能が求められます。Power BIはMicrosoft製品との連携が強く、これらのツールを日常的に使う職種に高い親和性があります。また、Looker StudioはGoogleアナリティクスやGoogle広告などGoogle製品との連携が容易であり、特にGoogleのデータソースを扱うマーケティング分野の職種に合っています。選定のカギは、自社に必要な機能と合致しているかです。
BIツールの操作性
現場で継続的に使われるためには、直感的な操作性が不可欠です。ノーコードやローコードに対応しており、非エンジニアでもレポートを作成・編集できるかを確認しましょう。たとえばLooker Studioは、ドラッグ&ドロップ中心の設計で操作が容易です。データ整形やフィルタ設定もUI上で行えるため、特定の人しかツールを操作できないといった状況を回避することができます。
データの扱いやすさ
BIツールの分析基盤としての柔軟性は、データの接続性と加工機能に現れます。自社クラウドやデータベースとの連携、API・CSVインポート対応を事前に確認することが重要です。また、複雑なデータへの適切な処理設計も実運用において重要です。扱えるデータの幅がBIツールの活用範囲を左右します。
導入コストと課金モデル
BIツールの費用構造はツールごとに異なります。ユーザー単位で料金のかかる物や、料金によって利用可能な機能が異なるツールもあります。選定の際には、BIツールごとに課金モデルを正しく理解することが必要です。運用開始後の予算超過を防ぐためにも、自社の使用想定に沿ったコスト試算を行いましょう。
導入コストやランニングコストに大きな強みを持つツールがGoogleの「Looker Studio」です。無料でデータの視覚化やデータソースへの接続、レポートの共有が可能なツールです。
Microsoftの「Power BI」も無料でレポートの作成が可能なので、初期導入がしやすいツールです。ただし、有料プランでないとレポートの共有はできないことに注意しましょう。
サイトエンジンでは、Looker StudioとPower BIの導入支援サービスを行っています。マーケティング、広告、営業など様々な目的に応じたテンプレートを取り揃えており、すぐに使える可視化環境を提供します。詳細なサービスの内容はこちらをご覧ください。
データ分析・可視化支援サービス ― Looker Studio / Power BIによるレポート作成支援
AI機能の搭載・活用支援の有無
BIツールにAI分析機能が搭載されていると、業務効率と意思決定スピードが向上します。たとえばPower BIでは、自動で異常値やトレンドを分析し、洞察を提示する機能が利用できます。これにより、担当者の分析負荷が軽減され、業務の現場でもデータ活用が実行に移しやすくなります。AI機能は「使える」だけでなく、「活用しやすいか」を確認することが重要です。
拡張性と運用の自律性
BIツールは、組織の成長やデータ活用の高度化に合わせて、分析で扱うデータの幅を柔軟に拡張できることが求められます。また、運用面では、ツールの設定変更やレポート更新などを社内でどこまで対応できるかを見極めることも重要です。将来的な運用体制へのBIツールの柔軟性を評価しましょう。
サポートの有無
導入後にツールを定着させるには、サポート体制の充実があるとより効果的です。たとえば、ベンダーによる問い合わせ対応の品質や速度、初期レポート設計の支援、日本語でのマニュアルやヘルプページの有無は、利用開始の障壁を下げる重要な要素です。特に初期フェーズでは、自社が必要とするサポートを具体的に提供してくれるベンダーかどうかを見極めることがポイントになります。
おすすめのBIツールの紹介
BIツールの選定は、貴社の課題や運用体制に合致するかが成功の鍵となります。ここでは、具体的なBIツールをいくつかご紹介いたしますので、是非参考にしてください。
Looker Studio
Googleが提供するLooker Studioは、データの可視化とレポート作成に特化した無料のBIツールです。GoogleスプレッドシートやBigQuery、GA4、Google広告など、800種類以上のデータソースに対応しており、複数のデータソースを統合してレポート作成や共有が可能です。
Looker Studioの特長としては、Google製品との親和性の高さが挙げられます。例えば、アクセス解析にGA4を使用している方には特に使いやすいBIツールとなっています。
有料版のLooker Studio Proでは、レポートの自動配信やCloudカスタマーケアのサポート、アクセス・組織管理といった機能が追加され、より高度なデータ活用を実現します。
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Power BI
Microsoftが提供するPower BIは、クラウドとオンプレミスの両方からデータを取り込めるため、多様なニーズに対応できます。デスクトップ版の操作はExcelやPowerPointと操作感が近く、これらに慣れている方には非常に使いやすいのが特長です。
Power BIには、個人利用向けの「無料」プランから、共有・共同作業が可能な「Pro」、高度な分析機能と大容量に対応した「Premium Per User」、アプリへの組み込み用途に特化した「Embedded」まで、用途に応じた4つの料金プランがあります。
Pro以上で他ユーザーとの共同編集が可能となり、PremiumではAI分析やエンタープライズ機能も利用可能です。この最新のAIは、データ間の関連性や法則性を学習し、迅速に分析結果を導き出します。EmbeddedはAzure経由での従量課金型で、アプリやWebサービスにレポートを組み込むための開発者向けプランです。
サイトエンジンでは、Power BIのダッシュボードテンプレートの作成、販売を行っております。詳細なサービスの内容はこちらをご覧ください。

その他おすすめツール
先に挙げたもの以外にも様々なおすすめBIツールがあるので、ここではその一部を紹介します。
Tableau
高度な可視化と多彩なデータ接続が強みで、大規模データの分析にも対応しています。直感的な操作性とセルフサービスBIが特長です。
公式サイト:Tableau
Domo
非エンジニアにも扱いやすいUIと、1,000以上のデータソース連携による可視化の即時性が特長です。柔軟なクラウド対応も魅力となっています。
公式サイト:Domo
Qlik Sense
世界5万社以上の導入実績を持ち、独自の連想エンジンとAIで高速探索・高品質なインサイト自動生成が特長です。大規模データ処理にも対応可能となっています。
公式サイト:Qlik Sense
MotionBoard
多彩なチャートパターンと豊富な分析ロジックで、小売流通業や製造業などの業界特有のニーズをカバーしているという特長があります。
公式サイト:MotionBoard
Zoho Analytics
Macユーザーにもおすすめで、スマートAIアシスタント機能により、データマイニングから分析までを直感的に支援する強みを持ちます。
公式サイト:Zoho Analytics
Yellowfin
AIがデータの変化を自動で検知し、インサイトをわかりやすいビジュアルと説明で知らせてくれる「自動分析機能」が特長として挙げられます。
公式サイト:Yellowfin
まとめ|課題解決から逆算したツール選定が必要
BIツール選定は、機能や価格だけでなく、自社の課題や活用目的から逆算して進めることが重要です。目的の明確化と要件定義を行ったうえでBIツールを選定することで、定着しやすく、成果につながる導入が可能になります。「どのように使うか」まで見据えた選定が、データ活用の成否を分けます。
サイトエンジンは貴社のBIツール導入を支援します
BIツールの選定は完了したものの、実際に使い始めたらBIツールの導入がうまくいかないこともあるでしょう。サイトエンジンでは、Power BIやLooker Studioを用いたデータ分析・可視化支援サービスを提供しています。豊富な実績に基づき、貴社の業務に即したレポート構築や改善を徹底的にサポートします。
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