「翻訳すれば海外のユーザーにコンテンツが伝わる」と多くの人が考えがちです。しかし、実際には、期待する成果が思うように得られていないケースが少なくありません。
多言語コンテンツでは、ただ日本語を翻訳するだけでは十分ではありません。文化や検索行動、言葉のニュアンスの違いから「視点のズレ」が生じ、成果につながらないことも。本記事では、現地視点を取り入れた効果的なコンテンツ制作の考え方を解説します。
目次
多言語コンテンツに求められる「翻訳以上」の工夫とは
多言語コンテンツを制作する際、まずは日本語の記事を他言語に翻訳するという方法をとる方も多いかと思います。 翻訳はもちろん大切なプロセスですが、それだけでは期待した成果(検索順位やコンバージョン、滞在時間など)につながりにくいこともあります。
その背景には、翻訳された文章が現地の文化や検索行動、読者の価値観にまで十分に対応できていない場合があると考えられます。
ここで言う「翻訳」とは、元の記事の構成や内容をベースに、他言語で意味や文法を正しく伝える作業です。ただし、文化的背景や検索ニーズ、読者の前提知識が異なる場合、文面は正しくても「少し違和感がある」「読み進めにくい」と感じられてしまうことがあります。例えば、現地ユーザーにとっては「日本の企業が書いた記事をそのまま訳したのかな」と受け取られることもあるかもしれません。
そうした印象を避けるためには、単なる翻訳にとどまらず、現地の視点に立って内容を調整・補足していく工夫が必要です。
「翻訳」が引き起こすコンテンツのズレ
グローバル展開を進めるうえで、「言語の壁は翻訳で乗り越えられる」と考えるのは自然なことです。しかし、多言語コンテンツでは、言葉を訳すだけでは現地のユーザーにうまく伝わらないケースもあります。
表現の自然さの違い
丁寧に翻訳された文章でも、現地でよく使われる表現と異なると、やや不自然に感じられることがあります。たとえば、日本語の文章構造や敬語のニュアンスがそのまま残ってしまうと、現地の読者には馴染みにくくなることもあります。
たとえば、日本では当たり前のように使われる「いただきます」という表現も、台湾では口にする習慣がありません。意味は理解できても、日常的な行動としては一般的ではないため、文化的な前提の違いが現れやすい例といえます。
伝える内容の焦点の違い
また、国や地域によって関心ごとや価値観が異なるため、日本で伝えたい情報が、そのまま現地のユーザーにとっても魅力的とは限りません。翻訳だけに頼った場合、どうしても「伝えたいこと」が中心になり、「現地ユーザーが知りたいこと」との間にズレが生じてしまうことがあります。
例えば、観光コンテンツの場合、「どの場所を紹介するか」は読者の目線に立って選ぶ必要があります。現地の旅行スタイルや期待値を踏まえずに、日本側の発信者視点だけで選ぶと、読者のニーズと合わなくなる可能性があります。
多言語コンテンツに必要な「現地視点」とは
成果につながるコンテンツを作るためには、現地の文化や感情、ニーズを深く理解し、それを踏まえてゼロからライティングする姿勢が求められます。現地視点を持つことで、日本国内からの視点では見落としがちな、外国人にとっての「日本の見え方」や認識をコンテンツに反映させることが可能になります。
例えば、観光コンテンツを制作する際、外国人にとって日本への旅行は気軽なものではなく、十分に計画を立てたうえで、数日〜数週間にわたって滞在するケースが多いと考えられます。
そのため、「日帰りでも行ける」といった表現が本当に適切かどうか、日本在住者の感覚だけで判断するのではなく、現地の旅行事情をふまえて慎重に検討する必要があります。
また、国や文化によって興味の対象も異なります。日本人にとっては特に目を引かない場所やものでも、外国人にとっては新鮮で魅力的に映ることがあります。こうした違いを捉える視点が、多言語コンテンツにおいて「刺さる情報」を届けるための鍵となります。
「感情」「文化的ニュアンス」「言葉の温度感」の重要性
現地ユーザーに向けてコンテンツを制作する際には、単に文法や単語を置き換えるだけでなく、「感情の伝わり方」「文化的ニュアンス」「言葉の温度感」を意識することが不可欠です。
具体的な例を挙げると、以下のようになります。
感情の伝わり方
台湾では「過度な敬語」よりも「自然で丁寧な語感」が重視されます。
文化的ニュアンス
インドネシアのムスリム(イスラム教徒)向けにコンテンツを制作する際は、宗教的価値観や文化的マナーを深く理解し、細心の注意を払う必要があります。
言葉の温度感
同じ中国語でも、台湾(繁体字)・香港(繁体字)・中国(簡体字)など、地域によって言葉遣いや好まれる表現に微妙なニュアンスの違いがあります。
これらの要素を盛り込むことで、日本や日本語が分からなくても内容を深く理解できる、真に「伝わるコンテンツ」が実現します。
外国人ライターだからこそ可能になる「現地視点」の強み
サイトエンジンは、以下のような強みを活かすために、外国人ライターに記事作成を依頼しています。直接翻訳するのではなく、その国のライターにコンテンツ制作を任せることで、現地視点を維持し、より効果的な多言語コンテンツを実現しているのです。
文化や国の興味の違いを反映
日本人にはあまり人気のない観光地やものでも、外国人にとっては新鮮で魅力的に映ることがあります。こうした文化や国による関心の違いを、外国人ライターは自然な形でコンテンツに反映することができます。
現地固有の習慣・文化の組み込み
例えば、台湾人が冷たい水を飲まない習慣があることを踏まえ、日本のコンビニでぬるい水が買えるといった情報は、外国人ライターは自然な形で記事に反映させることができます。これは、その国のライターが自国について一定程度深く知っているからこそ可能なことです。
自然な表現の活用
翻訳コンテンツを作る人には難しい、文化的な言い回し、例えば、トレンドなどを外国人ライターは自然に盛り込むことができます。
繁体字圏では、日本語の漢字をそのまま繁体字に変換してしまい、現地の人が日常的に使わない、あるいは違和感を覚える言葉になってしまうケースがあります。例えば、日本で一般的に使われる「休日」は、台湾でも意味は通じるものの、自然な表現とは言えず、「公休日」の方が一般的です。また、「suica」はブランド名なのでそのままの書き方でも問題ありませんが、「西瓜卡」の方が台湾では意味が通じやすいです。
まとめ
多言語コンテンツにおいては、単なる翻訳では文化や感情、検索行動の違いが反映されず、成果につながりにくいことがあります。外国人ユーザーに伝わるコンテンツを届けるには、文化的背景や言葉のニュアンス、視点の違いを理解し、現地の感覚に寄り添った表現が必要です。現地ライターの視点を取り入れることで、より自然で効果的なコンテンツ制作が可能になります。翻訳だけにとどまらず、「伝わる」ことを意識した制作が、多言語施策の成否を分けるポイントです。
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