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Power BI使い方ガイド|ダッシュボードを見やすくするための6原則

2025年9月5日

Power BI使い方ガイド ダッシュボードを 見やすくするための6原則

これまでのPower BI使い方ガイドでは、Power BIの導入方法や基本的な使い方、複数データのリレーション設定、日付スライサー、KPIカードやグラフの作成方法、Power BIで使用するDAX関数について学んできました。

第1回:Power BI使い方ガイド|BIツールで何ができる?導入方法と最初にやること

第2回:Power BI使い方ガイド|日付データの加工とグラフ・テーブル作成

第3回:Power BI使い方ガイド|複数データのリレーション方法と日付スライサーの使い方

第4回:Power BI使い方ガイド|ダッシュボードの作り方の基礎:KPIカードの作成方法

第5回:Power BI使い方ガイド|DAX関数とは?よく使うDAX一覧と使い方

第6回:Power BI使い方ガイド|グラフの選び方と作成方法

実際にレポートを作成するにあたっては、作った要素をどのように配置するかも重要です。適切なグラフの種類が選べていても、その配置次第で見やすさや伝わりやすさは大きく変わります。

今回は、Power BIでダッシュボードを作成する際に押さえておきたいビジュアル配置の基本ルールを6つ紹介します。この原則を押さえれば、誰が見ても直感的に理解できるレポートを作れるようになります。

1.目的ごとにレイアウトを分ける

ダッシュボードを作るときは、利用者がその画面で何を判断できるようにしたいかを決めることが大切です。売上の推移を把握したいなら「売上モニタリング用の画面」、顧客の属性を分析したいなら「顧客分析用の画面」といった具合に、目的ごとに分けて設計します。

1つの画面に売上・顧客・在庫などの異なる目的を詰め込んでしまうと、何を確認すればいいのか分からなくなってしまいます。逆に目的ごとに画面を分けておけば、迷うことなく必要な情報を確認できます。

2.最も重要な指標を一番上に置く

ダッシュボードを開いたとき、利用者が最初に目にするのは画面の上部です。特に左上は自然と視線が集まる場所なので、そこに一番大事な数値を配置しましょう。「売上高」「ユーザー数」「コンバージョン率」など、施策の評価に直結する指標がこれにあたります。これに対して、参考情報として確認すれば良い数値は画面の下部や別の画面に回してかまいません。

また、指標をいくつも並べすぎると、結局どれが大事なのか分からなくなります。「この画面を開いた人が最初に知りたいことは何か」を意識し、特に重要な要素を3~5個程度選ぶようにしましょう。

3.数値は比較や目標とセットで表示する

数値だけを表示しても、それが良いのか悪いのかは判断できません。見る人が知りたいのは「状況の良し悪し」や「改善が必要かどうか」です。そのため、数値は必ず比較や目標と一緒に示す必要があります。

例えば月単位で数値を表示している場合、このように前月比を併記すれば、その数値が良かったのか悪かったのか、すぐに理解できます。

比較対象がない数値は、単なる記録になってしまいます。次のアクションにつながる情報として数値を表現することが大切です。

Power BIにおける前月比の表示方法

前月比を表示するためには「当月の数値」「前月の数値」「前月比」の3メジャーを作成する必要があります。ここでは「売上データ」の「売上」列で説明します。

売上の前月比は、以下の式で算出できます。DAX関数を用いて、これをPower BI上で計算します。

(当月売上額 - 前月売上額)÷ 前月売上額

上部ツールバーの「新しいメジャー」を選択します。

「当月売上」というメジャーを作成します。数式欄に次のように入力します。

当月売上 = SUM([売上])

同様に「前月売上」というメジャーを作成します。数式欄に次のように入力します。

前月売上 =
CALCULATE([当月売上],
DATEADD('売上データ'[月], -1, MONTH)
)

同様に「売上前月比」というメジャーを作成します。数式欄に次のように入力します。書式は「パーセンテージ」を選択してください。

売上前月比 =
DIVIDE([当月売上] - [前月売上], [前月売上])

当月売上と売上前月比を表示するため「視覚化」から「カード」を2つ作成します。

基準となる月を指定するため「スライサー」も作成します。

それぞれのカードに「当月売上」「売上前月比」を、スライサーに「月」をドラッグ&ドロップします。

表示できました。レイアウトや表記は各自調整してください。

4.先行指標 → 結果指標 → 要因の順で並べる

ダッシュボードにビジュアルを配置する際は、データを読む流れを意識して上から並べると分かりやすくなります。特におすすめなのが、「先行指標 → 結果指標 → 要因」の順です。この流れに従うと、利用者は「将来を示す数値 → 実際の成果 → その理由」と、自然な順番で理解できます。

先行指標はユーザー数、リード数、キーイベント数などの「将来の結果を予測するためのシグナル」です。これらを最初に配置すると「今後の結果がどう動きそうか」の見通しが分かります。

結果指標は売上や利益など、最終的な成果を示す指標です。先行指標を見たあとに配置することで「予測どおり成果が出ているか」を確認できます。

最後に置くのが要因分析です。商品カテゴリ別の売上や地域別の利益など、「なぜその結果になったのか」を掘り下げるグラフやテーブルを配置します。

5.色の意味を統一し、強調は最小限に

達成している・プラスになっている指標は緑で、未達・マイナスになっている指標は赤で表示するといったように、色の使い方のルールを定めましょう。

また、たくさんの色を使うと見た目は派手になりますが、逆に見るべき箇所が分かりづらくなってしまいます。色は必要な箇所だけに限定して使うことが基本です。

6.データの表示期間を明示する

どんなに見やすい指標でも、いつのデータなのかが分からなければ正しく判断できません。そのため、必ずデータの期間を明示することが大切です。また、データ更新日をカードやテキストで表示しておくと、現在の数値が最新のものかどうか一目で分かります。

Power BIでは日付スライサーやフィルターを設置し、期間を選んでデータを絞り込める状態にすることが多いと思います。画面の最上部など、見やすい位置に配置しましょう。

まとめ:ビジュアルの見せ方で伝わりやすさは大きく変わる

ダッシュボードは、どんなデータを載せるかだけでなく、それをどう配置するかで伝わりやすさが大きく変わります。今回紹介した6つの原則は、ダッシュボードを作る際に最低限押さえておくべき基本ルールです。自分で作成したダッシュボードを見直して、このポイントを満たしているか確認してみてください。

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吉永 森文

この記事を書いた人

吉永 森文

大学職員、公務員、SEを経て、サイトエンジン株式会社に入社。データ分析・可視化事業を中心に、事業開発にも携わっています。

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