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観光・旅行マーケティングをコンテンツの力で成功させる方法

2025年6月16日

旅を検討するユーザーはスマホ越しに、まだ見ぬ“未来の思い出”を思い描きながらワンタップで行き先を決めます。その決め手となるのが、写真や体験談で旅の物語を先取りして示すコンテンツマーケティングです。
弊社は月間3,000万PV規模の大手旅行メディアを支援して培った“勝ちパターン”を公開します。旅行メディアだけでなく、個別の観光施設やホテルのWeb集客にもそのまま応用できる内容です。

※本記事では観光・旅行業界のコンテンツマーケティングに特化した記事となります。コンテンツマーケティングやSEOについて不安な方は初めに以下の記事をご一読いただくことで、理解がさらに深まります。
コンテンツマーケティングとは?基礎知識から実践方法までを徹底解説
コンテンツSEOとは? メリットと始め方のガイド【ツールも紹介】

観光・旅行業界がコンテンツマーケティングに取り組む3つのメリット

観光業界におけるコンテンツマーケティングは、ただの宣伝にとどまらず、顧客との信頼関係を築く重要な手段となります。特に、競争の激しい市場において、他社と差別化を図り、消費者の心をつかむためには、質の高いコンテンツを提供することが必要不可欠です。

接客データをそのまま資産化できる

フロントやガイドが毎日受ける質問、予約時に集まる年齢層・同行者・滞在目的などの属性データは、検索エンジン上ではまだ可視化されていない一次情報です。この“生きた声”を記事・動画・Q&Aに落とし込めば 、

  1. 検索ボリュームが読めないニッチワードでも確実にニーズを捉えられる
  2. 他社には再現できない一次情報としてサイト全体の信頼性(E-E-A-T)を底上げ
  3. 記事→店舗→追加ヒアリング→追記

という好循環が生まれます。

さらに、作成した記事をさらに、体系化されたQ&Aとして新人教育や多言語対応のマニュアルとしても転用することも可能です。
一度作ったコンテンツが接客品質の標準化・SEO強化・教育コスト削減を同時に実現し、長期的なROIを押し上げる、これこそ現場データを資産化する最大のメリットです。

無形商品でも「疑似体験」を提供できる

ホテルのベッドの寝心地、街歩きコースの高低差、雨天時の過ごし方――こうした感覚情報は広告の一行コピーでは伝わりません。記事や動画なら、言葉・写真・表で具体的に示せるため、購入前の不安を先回りして解消できます。

ロングテールキーワードで広告費を抑えた集客が可能

ビッグワードが広告で埋まる一方、旅の最終検討段階では「金沢 雨の日 子連れ」など複合語=ロングテールが検索されます。競合が薄いこの語句に記事を合わせれば広告ゼロでも上位を獲得することが可能です。小規模ホテルや体験事業など、大きなメディアを持っていない場合でも自社ならではの切り口を洗い出し成果につなげることができます。

検索意図から逆算するコンテンツタイプ

とはいえ「何を書けばいいの?」という壁にぶつかるのが常。最速で的を射るには検索フェーズを3段階に分解し、それぞれに合ったコンテンツタイプを用意するのが有効です。

フェーズユーザー心理キーワード例コンテンツタイプ執筆の要点
認知どこに行こう?福岡 旅行 おすすめ文化紹介
スポット紹介
地域の背景や季節写真で“憧れ”を喚起
検討どう行く?
何をする?
博多 由布院 アクセス交通ガイド所要時間・料金の比較を表で示す
決定どれを選ぶ?福岡 ホテル 家族向け施設・店舗紹介料金・特色→予約リンクの順で導線を敷く

例えば、家族旅行を検討中の読者は「ベビーカーを押して移動しやすいか?」という具体的な不安を抱えています。このニーズに「ベビーカーOK!福岡親子旅3泊4日モデルコース」という一本の記事で応えれば、他のホテルページよりもはるかに強い説得力を持てるでしょう。

旅行メディアではなく単一施設を運営している場合、比較記事などは作成しづらい傾向があります。その際は、先述のような細かなニーズに応えるテーマを選び、自社施設を自然に組み込んだ記事を制作することをおすすめします。

なお、必ずしも記事形式に限る必要はありませんが、前述のようにロングテールキーワードを狙い、読者に具体的なイメージを抱いてもらうには、やはり記事コンテンツが最適です。

体験キーワードを拾い上げるコツ

・「地名+悩み(雨・子連れ・夜・予算)」を軸に検索量を確認する
ボリュームと競合度のバランスが取れた語を優先。

・1検索意図=1記事に絞る
タイトルは30字前後、h2・h3にも主要キーワードを自然に含めます。

・スタッフ同士で「今週ゲストに聞かれた質問」を共有する
実店舗がある場合は、そこで飛び交うリアルな声が検索意図と高確率で一致します。

観光・旅行業界のコンテンツ制作PDCA-小さく作って大きく育てる

完璧な記事を初稿で目指すより、公開スピードを重視したほうが結果的に伸びます。なぜなら検索アルゴリズムは「更新頻度」「ユーザー行動」を観察し続け、記事の出来を後から評価し直すからです。

▼公開後の確認フロー例

時期アクション例改善例
公開直後タイトルと見出しにキーワード反映冗長なら削る
1週間~1ヶ月Search Console で表示回数確認類語を追加
1ヶ月~3ヶ月GA4で平均滞在時間測定料金表や結論を上部へ
3ヶ月~6ヶ月CTA クリック率計測ボタン色・配置変更

※上記はあくまで目安です。サイト規模や季節変動、組織のリソース配分によって理想的なサイクルは変わります。自社のKPI(例:予約件数、問い合わせ数、指名検索数)と照らし合わせながらPDCAをカスタマイズしてください。

▼分析ツールについては以下の記事も参考にしてみてください。
サーチコンソールでブログ記事タイトルとディスクリプションのリライトをしてクリック率を上げる方法


コンテンツ制作におけるKPI設計

「読まれている気はするけど売上にどう効いた?」──経営層の典型的な疑問に答えるため、目的―施策―指標―アクションを1枚の紙にまとめておきます。具体例を挙げると次のようなセットが扱いやすいでしょう。

目的KPI施策例
認知拡大検索表示回数ロングテール記事を月4本追加
興味喚起平均滞在時間ヒーロー画像を軽量化し離脱を抑止
予約促進CTAクリック率ファーストビュー内にボタン配置
リピートメルマガ登録数特典PDFで登録を誘導

数字の伸びなかった理由を言語化できると、次の改善が格段に速くなります。たとえばクリック率が上がらないなら「ボタン文言の訴求不足」と仮説を立て、A/Bテストを回すといった具合です。

観光・旅行系コンテンツは情報更新の管理が難しい

観光・旅行系コンテンツは交通情報や施設・店舗情報など、常に情報が変化します。特に金額や営業時間など変化の激しい情報は「”〇年〇月現在”を必ず入れる」のように記載ルールを決めたうえで、情報更新を定期的に行います。

また、閉店や新規出店に対応するため、記事ジャンルによってどのくらいの頻度で情報追加を行うか決めておきましょう。弊社では特に入れ替わりの激しい巨大施設内の店舗や繁華街の飲食関連店舗の記事では2,3か月に1度更新をしています。

コンテンツ制作・更新早見表 ─ 国内向けとインバウンド向けを一目で把握

旅行メディア運営で培った“型”を、日本語記事と訪日外国人向け(インバウンド)記事の2系統に分けて一覧化しました。
各ジャンルで必須となるタスクを●で示し、リライト・情報差替えの発生ポイントや推奨更新頻度もまとめています。自社スタッフの工数設計や外部ライターへのブリーフィングにそのまま転用できるチェックリストとしてご活用ください。

日本語記事向けコンテンツ例

コンテンツ種別キーワード例主な作業要素(●=必須)推奨更新頻度目安
交通ガイド/アクセス大阪駅から京セラドーム路線&料金調査●/路線図作成●/画像(経路図)◯ダイヤ改正ごと+年1
スポット単体紹介伏見稲荷大社 完全ガイド文化背景リサーチ●/体験撮影◯年1+大型行事時
ランキング・まとめ札幌で安くて美味しい〇〇10選店舗リスト刷新●/画像挿入/年号アップデート●2-3か月毎
モデルコース/ルートベビーカーOK!福岡親子旅3泊4日所要時間表●/地図●/画像(時系列)●/関連チケットリンク◯シーズン毎
季節・イベントガイド北海道 雪の名所10選開催日調査●/写真更新●/天候リンク◯毎シーズン前
お土産・ショッピング紹介もらって嬉しい名古屋土産10選商品在庫確認●/価格帯記載●/パッケージ画像●半期 or 新商品発売時
グルメ食べ歩きまとめ京都・嵐山食べ歩きグルメ15選メニュー更新●/写真再撮◯/キャッシュレス対応表◯シーズン毎
既存記事リライト年号更新/閉店差替え 見出し刷新●/リンク修正●記事種別ごと

インバウンド向けコンテンツ例

コンテンツ種別日本語キーワード例英語キーワード例主な作業要素(●=必須)推奨更新頻度目安
交通ガイド/アクセス京セラドーム アクセスHow to get to Kyocera Dome Osaka (Osaka Dome)路線&料金調査●/多言語SERP確認●/路線図作成●/ALT多言語●ダイヤ改正ごと+年1
ハウツー/マナー〇〇 鑑賞 方法 チケットHow to watch ~文化背景●/手順図解●/用語ローカライズ●/動画字幕◯法改定・料金変更時
文化コラムコンビニ チェーン店 日本Convenience store chains in Japan画像挿入●/歴史年表◯/インフォグラフ◯隔年
お得情報・パス紹介○○周遊パス 比較~ Pass comparison料金表●/有効期限チェック●/ドル円レート更新◯料金改定ごと
祝日・カレンダー系日本 祝日 2025 2026Japan public holidays 2025-2026公式ソース確認●/早見表作成●/翌年差替え●/Googleカレンダー等の配布◯年1
季節・イベントガイド北海道 雪 観光名所Best snowy spots in Hokkaido開催日調査●/写真更新●/服装Tips●冬シーズン前
子連れ・高齢者向けガイド子連れ 日本旅行 観光スポットTraveling to Japan with kidsベビーカーレンタル情報●/バリアフリー調査●/持ち物表●半年
絶景・夜景フォトスポット札幌 夜景 スポットSapporo night-view photo spots実写撮影●/ALT多言語●必要に応じ
Q&A/トラブル対策日本 蚊 対策Mosquito repellent in Japan薬事表現チェック●/写真●/商品テスト◯年1
ブランド/店舗ガイドアディダス 店舗 日本adidas store guide Japan免税情報●/店舗写真●/価格帯調査◯四半期
画像・動画ギャラリー東京 夜景 スポットTokyo night-view reel実写撮影●/AI生成◯必要に応じて

24時間働く“資産コンテンツ”が叶えるオンラインのおもてなし

旅前の迷いを解くコンテンツは、オンラインで最初に届けるおもてなしです。コンテンツを作成し、改善していくことで、広告費に頼らずとも検索順位の改善や予約増が十分に期待できます。また、ブランドへの信頼も着実に積み上げやすくなります。

さらに、この手法は広告出稿の波に左右されずコンテンツが“資産”として自走し続ける点が大きな強みです。コンテンツは24時間働き、地域と旅人を結び続けます。

まずは「よくある質問」を一題、記事にしてみましょう。それが新たなファンとの最初の接点となり、スタッフの知見を組織の財産へと育てる第一歩になります。

荒井 皓平

この記事を書いた人

荒井 皓平

オウンドメディア構築・運営とコンテンツ制作を経験しサイトエンジンに入社。 データに基づいた科学的アプローチでコンテンツマーケティング支援を行う他、オンラインセミナーで幅広いお客様へのノウハウのご提供、コンサルタントチームをまとめながら新規事業にも携わる。

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