「スタッフに覇気がない」「うつむきがちで挨拶もしっかりできない」「報連相がいつまでたってもできない」チームリーダーが直面しがちな問題です。
今日はこれらの現状を改善するために、私たちが開発し実際に運用している「セルフチェックツール」について、なぜこれを作ったのか、そのストーリーを少し長めにお話ししようと思います。組織づくりやカルチャーの浸透に悩んでいる経営者の方や、チームリーダーの方には、きっと何かのヒントになるはずです。
仕事の基本姿勢をチェックする「デイリーアクションチェックツール」

行動習慣化のためのセルフチェックツールです。 仕組みはとてもシンプル。管理者は会社として大切にしたい行動指針をカテゴリーごとに複数登録できます。これらのチェック項目に関し、ユーザーが毎日、できたかできなかったかをチェックします。


スタッフがやることは、始業前や終業後にスマホやPCから、その日の自分の行動をポチポチと振り返るだけ。 回答内容はデータベースに蓄積され、個人の行動変化をグラフで見える化したり、チーム全体の達成率を集計したりといった分析が可能です。

さらに、行動基準の高いメンバーを可視化するランキング機能も搭載。 離れて働いていても「会社の文化」を共有し、上司の管理ではなく「自律的な成長」を促すためのクラウドサービスです。
そのた、日報や業務報告でありがちな未提出を防ぐためのアラート機能などを備えています。
その他の機能:
優秀者ランキング表示
個人別休日設定機能(有給等)
入力漏れに対するアラート機能
未入力者報告機能(管理者向け)
編集可能期間設定
個人別ユーザー登録機能
(当システムに関する利用等をご希望の方はお問い合わせよりご連絡ください)
「いい大人」にあえて挨拶や整理整頓のチェックを課す理由
「えっ、挨拶や整理整頓をチェックリストにするんですか? 子どもじゃないんだから」
もし私が他社の社員で、社長からいきなりこんなツールを渡されたら、きっとそう思うでしょう。「これはマイクロマネジメントだ」「僕らを信用していないのか」と、反発すら覚えるかもしれません。
でも、あえて言わせてください。 「大人だからこそ」、こういう仕組みが必要なんです。
原体験は、お客様の前で冷や汗をかいたあの日の挨拶
そもそも、なぜこんなツールを作ろうと思ったのか。 そのきっかけは、ある日のお客様の来社時まで遡ります。
大切なお客様をお迎えしたときのことです。ふとスタッフの様子を見ると、挨拶の声が小さい。あるいは、デスク周りが少し散らかっている。
「あれ?」と違和感を覚えました。決して悪気があるわけではないんです。でも、お客様から見れば、それは「会社の姿勢」そのものに映ります。
その瞬間、私は猛烈な不安に襲われました。 「うちは、基本的なことができていないんじゃないか?」
さらに、ここ数年の環境変化も大きく影響しています。コロナ禍を境に、リモートワークやハイブリッドワークが当たり前になりました。それは働きやすくなった一方で、副作用も生んでいます。 あえて強い言葉を使うなら、多くの社会人の「基礎的な筋肉」が落ちてしまっている気がしてならないのです。
久しぶりに出社しても、どこかよそよそしい。他社を訪問しても、以前のような活気ある挨拶が返ってこない。 皆さんも、そんな経験はありませんか?
「大人」を指導する難しさ
もちろん即全体にフィードバックしました。全体の朝礼でも。 そして半年もするとまた同じような注意を繰り返している。なぜなら、こうしたフィードバックは業務に関するフィードバック以上にむずかしいから、全社的に徹底されないという現実があるからです。業務上の問題であれば先輩や、上司にも「ここが間違ってませんか?」といいやすいのですが、挨拶や身だしなみとなると思いのほかハードルが高い。
新入社員なら「元気よく挨拶しよう!」と教えられます。でも、30代、40代のキャリアある「大人」に対して、「もっと大きな声でおはようと言おう」なんて、まるで小学校の先生みたいで言いにくいですよね。言われる方も、「そんなこと分かってますよ」とプライドが傷つくかもしれない。
結果として、どうなるか。 「見て見ぬふりをする人」が増えるんです。
誰も指摘しないから、本人はそれが悪いことだと気づかない。少しずつ基準が下がり、気づいた時には「挨拶もしない、机も汚い、でも仕事はそこそこやる」という、なんとなくルーズな空気が会社全体を覆ってしまう。指摘したはずの内容が指摘前に戻ってしまっている。
これが一番怖い。 だからこそ、私は考えました。 「人」が不定期に指摘を繰り返すのではなく、日々「自分」に向き合ってもらえばいいんじゃないか、と。
毎日2分、自分を鏡に映す時間

そこで導入したのが、このセルフチェックツールです。弊社では「業務の取り組み」「身辺と環境整理」「基本姿勢と態度」という3つのカテゴリーを用意しています。それぞれに会社として大切にしたい行動指針が5個ほど設定されています。
スタッフは、始業前と業務終了後のわずかな時間を使って、前日、もしくはその日の自分の行動を振り返ります。これらをポチポチとチェックします。
- 「スピードを追求できたか」
- 「チームに貢献できたか」
- 「社内・社外のスタッフにフィードバックしたか」
- 「デスクの上は片付いているか」
- 「元気に挨拶をしたか。みんなに聞こえるように。顔を上げ、はきはきと!」
- 「ほかの人の仕事に感謝し、ほめたり賛辞を贈ることができたか」
これらは、当社の「バリュー(価値観)」を具体的な行動に落とし込んだものです。 抽象的なスローガンを壁に貼るのではなく、「今日、あなたはそれをやりましたか?」と毎日問いかける。
誰かに怒られるわけではありません。ただ、ツールという「鏡」の前に立ち、自分の姿を客観的に見る。 「あ、今日は忙しさにかまけて、周りへの配慮が足りなかったな」 そう自分で気づくための装置なんです。
「表彰」がもたらした意外な心理効果

さて、ここで多くの方が疑問に思うことがあります。 「自己申告制なら、適当に全部『YES』をつけて終わりにする人が出るんじゃない?」と。
正直、私も最初はそれを懸念していました。 そこで、このツールには「ランキング」の機能を付けました。これをもとに優秀な人間を「表彰」するという仕組みづくりができます。チェック項目の達成率が高い人やチームを、みんなの前で称賛する仕組みです。
すると、何が起きたと思いますか? 「スコア稼ぎ」が横行するどころか、むしろみんな、自己評価が厳しくなったんです。
なぜか。想像してみてください。 もしあなたが、挨拶もろくにせず、机も散らかっているのに、ツール上で満点をつけてランキング1位になり、表彰されたとしたら。 周りの同僚は冷ややかな目で見るでしょう。「あいつ、全然できてないのに、よく満点つけられるな」と。
これ、大人としてめちゃくちゃ恥ずかしいですよね?「表彰される=衆目に晒される」ということです。 この仕組みがあるおかげで、「実態とかけ離れた嘘はつけない」という健全なプレッシャーが働きます。
結果として、みんな「今日はここがイマイチだったから×にしよう」と、正直に入力してくれるようになりました。これは、一人でやるダイエットは続かないけれど、仲間と体重を公開し合えば誤魔化せないし、頑張れるのと似ています。
みんなで見ている」という環境こそが、データの信頼性を担保しているのです。
データは「組織の健康診断書」
こうして集まったデータは、経営者である私にとって、宝の山です。 単なる「ToDoリストの消化率」ではありません。スタッフ一人ひとりの、そして組織全体の「バイタルデータ」そのものです。
例えば、いつも元気なAさんの「挨拶」の項目に、数日連続で×がついているとします。 これは単なるマナー違反ではなく、「何かプライベートで悩みがあるのかな?」「メンタルが落ち込んでいるのかな?」というSOSのサインかもしれません。
あるいは、「事前準備」の項目がずっとクリアできないBさん。 もしかすると、サボっているのではなく、業務量が多すぎてパンクしているのか、あるいは仕事の段取りの組み方がわかっていない(スキル不足)のかもしれません。
データとして可視化されることで、私たちマネジメント側は、感情的に「なんでやってないんだ!」と怒るのではなく、「何か困ってることある?」と適切なフォローを入れることができるようになりました。
事実、このツールを使い始めてから、社内の雰囲気はガラリと変わりました。
「挨拶をしよう」という意識が戻ってきたことで、コミュニケーションの総量が増えました。お客様からも「御社のスタッフは気持ちがいいね」と言っていただけることが増えました。
行動が変われば、意識が変わる。意識が変われば、文化が変わる。まさにそれを実感しています。
今後のシステム更新
現在は、全社一律のチェック項目で運用していますが、これからの展望もあります。 組織が大きくなれば、営業チームと開発チームでは、重視すべき行動が変わってくるはずです。
今後は、チームごとに独自のチェック項目を設定できる機能も充実させていく予定です。
- 挨拶や整理整頓といった「全社共通の項目」は、会社の基礎として全員が守る。
- 職種ごとの専門的な行動は、現場の姿勢としてチームで決める。
この「統一性」と「個別性」のバランスを取りながら、運用を進化させていこうと考えています。
最後に
「文化」という言葉は、とても便利で、とても曖昧です。
「うちは自由な文化です」「アットホームな文化です」と言うのは簡単ですが、その実体は何でしょうか?
私は、「文化とは、日々の行動の集積」だと思っています。 毎朝の「おはようございます」の一言。 お客様を迎える前の、机の上の整理。会議前の5分間の準備。
そんな、一見すると「子供っぽい」「細かすぎる」と思われるような行動の一つひとつが積み重なって、初めてその会社の「色」や「信頼」が作られます。
大人だからこそ、忙しいからこそ、あえて立ち止まって基本を振り返る。そんな「当たり前の基準」を揃えることが、強い組織を作る一番の近道なのかもしれません。
もし、皆さんの会社で「最近、なんとなく空気が緩んでいるな」と感じることがあれば、一度「当たり前」を仕組み化することを検討してみてはいかがでしょうか。 意外と、みんなそういう「きっかけ」を待っているのかもしれませんよ。
サイトエンジンでは業務効率改善のためのシステム開発を承っています。ご希望の方は是非お気軽にご連絡ください。
