DX推進やAI活用が求められる中、多くの企業でAI研修の導入が進んでいます。しかし、研修費用の確保や予算の制約で、なかなか一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
こうした課題を解決するために活用できるのが、国や都道府県、自治体が提供する助成金です。
今回は、全国の企業が利用できる「人材開発支援助成金」と、東京都内の企業が対象となる「DXリスキリング助成金」を中心に、AI研修に活用できる助成金制度の概要と、申請のポイントについてご紹介します。
※本記事の内容は2025年8月時点の情報です。制度の最新要件や申請期限等に関しましては、各助成金の公式サイトでご確認ください。
目次
全国で活用できる「人材開発支援助成金」
AIやDXに関する社内研修を行う際、全国の企業が活用できるのが、厚生労働省の 「人材開発支援助成金」 です。この制度は、以下の要件を満たす研修を実施した場合に、経費や研修中の賃金の一部が助成される制度です。
人材開発支援助成金の主な要件
- 受講者が雇用保険被保険者であること
- 職務やキャリア形成に関連する研修であること
- 連続または通算で10時間以上の研修であること
- 研修の目的が、企業の事業展開や業務変革に伴う人材の再育成であること
- 研修講師が十分な実務経験か指導経験、もしくは一定の資格を有していること
- 研修開始日の6カ月前から1カ月前までに、計画届を提出すること
特に研修を担当する講師が指定された要件を満たしているか確認するようにしましょう。講師要件があいまいなまま申請すると、助成金の不支給や申請差し戻しの原因になるため注意が必要です。
また、人材開発支援助成金は、対象や目的に応じていくつかのコースに分かれています。その中でもAIやDXに関連する研修を実施する場合に最も関連性が高いのが、「事業展開等リスキリング支援コース」です。このコースは企業の新事業や新サービス展開などを見据え、既存従業員のスキル転換を目的とした研修に対して助成されるものです。
制度や手続きの流れの詳細に関しては、厚生労働省が公開している最新のパンフレットを参考にしてください。
東京都の企業向け「DXリスキリング助成金」
東京都内の企業であれば、東京しごと財団が提供する「DXリスキリング助成金」を活用することが可能です。この制度は、AI・DX分野のスキル習得を目的とした研修を受講した場合、最大で研修費用の4分の3(上限7.5万円/1人1研修、1社あたり年間100万円まで)が助成されます。
参照:公益財団法人東京しごと財団 – 令和7年度 DXリスキリング助成金
DXリスキリング助成金の主な要件
- 申請事業者が中小企業または個人事業主であり、見なし大企業ではないこと
- 受講者が都内の事業所に常勤する従業員または雇用保険に加入している役員であること
- 受講者が法人の代表者または個人事業主ではないこと
- レディメイド研修の場合、研修形式は集合研修、同時双方向型オンライン研修、eラーニングのいずれかであること
- オーダーメイド研修の場合、研修形式は集合研修、同時双方向型オンライン研修のどちらかであること
- 受講者は総研修時間の8割以上出席すること
- 1研修あたりの所要時間が3時間以上10時間未満であること
- 研修を複数日に分けて実施する場合、1回あたりの時間が30分以上であること
- 研修開始予定日の1カ月前までに交付申請書を提出すること
- 研修にかかる費用は会社が全額負担し、個人が負担しないこと
前述の「人材開発支援助成金」と比べて活用しやすく、DX関連の人材育成を進める企業の間で注目を集めています。とはいえ、制度の概要や申請要件などは正確に把握しておく必要があります。また、初回申請時は会社情報や納税証明書類などの添付も必要になるため、早めの準備が必要です。また、他の助成金を併用することはできません。
DXリスキリング助成金の申請の流れ
弊社では「DXリスキリング助成金」の活用に関してサポートをしているため、本記事では東京都の助成金の申請フローを詳しくご紹介します。他地域や国の助成金をご検討の方は、必ず公式パンフレットや専門窓口でご確認ください。
「DXリスキリング助成金」を活用する場合、主な手続きは以下の流れとなります。
1.事前準備・申請書類の作成
申請方法は「紙申請」または「Jグランツ(電子申請)」から選べます。
必要書類は下記の通りです。
すべての申請で共通のもの
- 交付申請書(様式第1号)
- 助成対象額計算書(様式第2号)
- 研修計画(様式第3号)
- 教育機関の概要(研修を行うすべての機関の事業概要が分かる資料)
- 研修ごとの受講案内(研修名・内容・日時・時間数・1人あたりの受講料などが明記されたもの)
- オーダーメイド研修の場合、見積書
- オーダーメイド研修の場合、誓約書(様式第4号)
- 提出代行者を立てる場合、委任状(参考様式1)
初回申請時のみ必要なもの
- 会社案内/会社概要が分かるもの(HP写し等)
- 組織図
- 印鑑証明書(法人)または印鑑登録証明書(個人事業主)
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 法人都民税・法人事業税の納税証明書
- 必要書類の詳細や提出方法は、必ず募集要項の「提出書類一覧」でご確認ください。
2.研修の実施と記録管理
レディメイド研修の場合は受講証明書、オーダーメイド研修の場合は出席簿や実施報告書などで、受講状況の管理をする必要があります。また、研修が実施されたことを証明するため、集合研修では研修風景が確認できる写真、オンライン研修では受講者・講義日時・講義内容の分かるスクリーンショットの撮影が必要です。
また、研修は原則的には労働時間内に実施し、従業員の研修中も所定の賃金を支払う必要があります。休日や所定外の時間に研修を実施する場合、所定の確認書の提出や、賃金取扱いの証憑が必要です。
3.研修後の実績報告
DXリスキリング助成金では、研修終了後2カ月以内に実績報告を行います。実績報告の際に提出する書類は下記のとおりです。
- 実績報告書(様式第7号)
- 助成対象額計算書(様式第2号の実績欄)
- 研修計画(様式第3号の実績欄)
- 受講実績の証明書類(受講証明書、出席簿、研修実施報告書、集合写真、スクリーンショットなど)
- 支払証憑一式(領収書、請求書、振込控など)
- 研修内容や日程の変更があった場合、変更承認申請書(様式第10号)
4.助成金の支給
実績報告の審査完了後、助成額の確定通知が送付されます。それを受け取ったあと、請求書兼口座振替依頼書(様式第9号)を作成し、提出します。
他の地域で助成金を探す場合
東京都以外の地域でも、同様にAI・DX関連研修に活用できる助成金制度が存在する可能性があります。
自社所在地の最新の助成金情報は、公的な情報サイトで検索することができます。ここでは、代表的なポータルサイトとその特徴を紹介します。
ミラサポplus
中小企業庁(経済産業省)が運営するポータルサイトです。中小企業・小規模事業者向けの補助金・助成金情報を網羅的に掲載しており、地域や目的での絞り込みも可能です。補助金だけでなく、専門家派遣や税制優遇などの支援策も検索対象になります。
参照:ミラサポplus
スマート補助金
株式会社Blitzが運営するポータルサイトです。補助金の対象・エリア・業種・使い道など、多角的な絞り込みが可能です。セルフ診断、申請代行依頼、士業紹介などの支援機能も提供されています。
参照:スマート補助金
J-Net21
独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する、全国の中小企業支援策を検索できる情報サイトです。地域・業種・支援種別での詳細な絞り込みが可能で、幅広い中小企業向け支援情報を網羅しています。
まとめ
AI活用に対する知識は、今や多くの企業にとって必須となりつつあります。サイトエンジンでは、現場で役立つ実践的なAI研修プログラムを提供しており、東京都内の企業様であればDXリスキリング助成金を活用した受講も可能です。また、弊社のAI研修にお申し込みいただいた方には、ご希望に応じてDXリスキリング助成金の申請サポートも行っております。
「自社に合ったAI研修を探している」「助成金を使って研修を受講したい」とお考えの方は、まずはお気軽にご相談ください。AI研修の導入から助成金の申請まで、貴社の人材育成をサポートいたします。
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