瀬川さんの主催されているB2Bマーケアドベントカレンダーに参加している記事です。
BtoBマーケティングではコンテンツを作る機会が多いかと思います。ランディングページ、サービスページ、ホワイトペーパー、メルマガ・シナリオメール、事例記事、コラム記事、SNS投稿、動画、展示会で配布するためのパンフレットなどなど、、、様々なコンテンツを継続的に作っている方が多いのではないでしょうか。とにかく手間がかかって大変ですよね。
せっかく作ったコンテンツを生成AIの力を借りて最大限効果的に使うための方法について紹介します。すぐに試せる割に効果が高い施策だと思いますので、ぜひ試してみてください。
主に
1.面を増やす
2.広める
3.社内で活用される機会を増やす
の3つの方法を紹介します。
1.面を増やす
まずは見てもらえる箇所を増やす方法を説明します。
ページ間のコンテンツ転用やリンク先を探す
作ったコンテンツは様々なページで活用すると効果を最大限に引き出せます。たとえば導入事例ページを作ったときに、そのページだけしか情報を使わないのはもったいないです。
関連したサービスのページに一部を抜粋、編集して掲載するのはもちろん、関連したコラムなどにも掲載が可能です。AIに指示することで、どのページにどんな情報を追記すればよいか簡単に提案してもらえます。
導入事例への導線を記事内に作る手順は以下の通りです。
1.記事と導入事例のタイトルとURLをAIに渡す
タイトルやURLはCMSの管理画面などからリストにできると思いますが、もし手元にない場合には、一覧ページのURLを送って抽出してもらうようAIに依頼すれば出してもらえます。
AIに依頼しても一覧ページの1ページ目からだけしかタイトルを出してもらえない場合があります。その場合には一覧ページの2ページ目以降のURLも送るか、それでも駄目なら少し手間はかかりますが、2ページ目以降のCTRL+Uでソースコードを開いてすべてコピペしてAIに渡せばタイトルだけ出してもらえます。
2.導入事例を追加で紹介するべき記事と該当箇所を提案してもらう
次に、以下のようなプロンプトを投げて、どの記事でどの事例を紹介すると良いかを提案してもらいます。
【プロンプト例】
どの記事からどの事例のページにどうリンクを貼ると読者の利便性が上がるかを考えてください。まず記事と事例の組み合わせをそれぞれのタイトルから考えて、その後、各記事のURLにアクセスして文章内のどの箇所で事例を紹介すればよいか教えてください。
Geminiで実行すると以下のような出力です。

記事と導入事例という組み合わせ以外でも使えます。左がリンク元、右がリンク先で、以下のような組み合わせがあります。
- 記事とホワイトペーパー
- 記事と動画
- サービスページと導入事例
- 過去記事と新着記事
- シナリオメールと導入事例
- シナリオメールと記事
- シナリオメールと動画
- 営業資料と導入事例
別フォーマットに転用する
記事から図解をつくる、動画を記事にする、複数の記事をまとめてホワイトペーパーにするなど、簡単にフォーマットの転用ができます。異なるフォーマットでコンテンツを作ることで、自社サイト、XやInstagramといったSNS、動画サイトなど様々な媒体に掲載することができ、異なる層に見てもらうことができます。
たとえば、自社のウェビナー動画やYouTube動画も、文字起こしテキストさえあれば一瞬で記事化できます。長文脈に対応したAIであれば、1時間の動画の文字起こしを丸ごと読み込ませて、「このウェビナーの要約記事を、H2やH3を使って見出しの構成として作成してください」と指示するだけで、SEO記事のベースが完成します。
たとえば、以下はGeminiの画像生成(Nano Banana Pro)にこの記事を読ませて図解化してもらったものです。少し前まで画像内の文字がつぶれたり、謎の言語になってしまって大幅な加工編集なしでは使えなかったのですが、そのまま使えるような水準になりつつあります。

2.広める
どんなによいコンテンツを作っても、誰にも見てもらえなければ広まりません。バズる可能性があるすごく良いコンテンツがあったとしても、最初の露出があまりにも小さければ拡散されずに終わってしまう可能性があります。
メルマガやSNS向けの文章を書く
書き終えた記事の全文と、過去のメルマガ原稿・SNSアカウントの情報をAIに渡せば、記事を紹介するためのメルマガやSNS投稿を書いてもらえます。過去のアウトプットを渡すことで文体などを寄せてもらえます。
メンテナンスして繰り返し使う
一度作ったコンテンツは何度も繰り返しSNS、メルマガなどで使います。過去記事をそのまま再投稿しても、情報の鮮度が落ちている場合がありますので、AIを活用して書きかえます。
たとえば、1年以上前に書いた記事であれば、AIに記事を読ませた上で「この記事の内容に関連する、2025年時点の最新トレンドや統計データをWeb検索して、追記すべき箇所を指摘してください」と依頼します。Deep Researchなどの検索機能を活用することで、材料を探してもらうことできて、情報のアップデート工数を大幅に削減できます。
また、「この記事を、新人担当者向けに紹介する文章」「決裁者向けに紹介する文章」「要点のみを箇条書きした文章」など、ターゲットや切り口を変えたSNSへの投稿案をAIに複数パターン作成してもらい、時期をずらしてSNS投稿する方法もあります。
3.社内で活用される機会を増やす
作ったコンテンツを社内のメンバーが活用できるよう支援することもコンテンツの投資対効果を上げることにつながります。
社内用の「コンテンツ問い合わせ窓口(チャットボット)」を作る
コンテンツが増えてくると、営業やCS(カスタマーサクセス)のメンバーから「〇〇業界の事例ってありましたっけ?」「この機能について詳しく書かれた資料はどこですか?」と聞かれることが増えませんか? 都度チャットで返信するのも手間ですし、せっかく作った資料が社内で認知されていないのは機会損失です。
そこで、生成AI(GoogleのNotebookLMやChatGPTのGPTsなど)に、これまで作った記事URL、PDF資料、動画などをすべて読み込ませて、「社内専用の検索チャットボット」を作成することをおすすめします。 社内メンバーが「製造業向けの事例を教えて」とAIに聞くだけで、該当するコンテンツの要約とリンクを即座に提示してくれるようになります。
マーケターが毎回探して送る手間が省けるだけでなく、社内メンバーがコンテンツを自発的に活用する文化作りにも繋がります。営業担当者が導入事例を探す時間を削減して、商談で活用する頻度を上げることができれば受注率が改善される可能性があります。
あわせて以下も参照してください。
NotebookLMの営業提案活用術!データを読むほど賢くなるAIで営業力をUPしよう!
NotebookLMを活用して新人の営業提案力を底上げする方法
営業と連携するための「たたき台」を作る
「作った事例やホワイトペーパーを営業が使ってくれない」という悩みもよく聞きます。これは、営業が「どういう文脈でお客さんに渡せばいいか分からない」ことが原因の一つかもしれません。 ここでAIを使って、営業部門と連携するための「コンテンツ活用方法のたたき台」を作ってみましょう。
AIにコンテンツを読み込ませて、以下のようなアウトプットを作成させます。
- 導入事例をお客様にメールで送る際の紹介文案(件名と本文)
- 商談中にこの資料を見せる際のトークスクリプト案
- テレアポ後のフォローで送る際の情報提供のメール案
ポイントは、これらを「完成品として渡さない」ことです。「こんなメール案を作ってみたんですが、現場の感覚としてどうですか? 修正して使えそうですか?」と、営業担当者に相談するための材料として使います。 ゼロから「導入事例を新しく作ったので営業時に使ってください」とただ渡すよりも、具体的な利用方法のたたき台を作っておくことで、利用されやすくなります。また、営業やCSからのフィードバックが生まれ、結果としてより読まれやすい、使われやすいコンテンツへと改善できます。
持っておくとよい考え方
時間や媒体を変えて繰り返し拡散する
ほとんどの人があなたの会社がした情報発信を見てません。たとえば、SNSにコンテンツを投下したとして、フォロワーの人ですら見ずに流れていってしまうことが多いでしょう。そのため、一度しか拡散しないのはもったいないです。更新したタイミングなどで再度拡散します。
複数箇所に同じ情報を掲載する
ユーザーのためになるのであれば、複数箇所に同じ情報を掲載します。掲載する際には必ずしも大元のコンテンツを掲載しているページにリンクを貼る必要はありません。一般的に、ランディングページ(LP)から別ページへ遷移させることは「離脱」とみなされ、成約率を下げると考えられがちです。 しかし、じっくり検討するタイプのBtoB商材においては、多少の離脱が出たとしても、信頼できる導入事例を読んでもらった方が、最終的な成約率は高くなる可能性もあります。
1箇所にしか掲載しておらず、ユーザーに見つけてもらえないのであれば、そのユーザーにとっては存在していなかったコンテンツとなってしまいます。サイト全体をくまなく探してもらえるわけではありませんので、見せるべきページすべてにコンテンツを転用することが大切です。
社内周知を徹底する
作ったコンテンツを社内メンバーが認識するように回覧することも重要です。ただ「公開しました」とチャットツールに流すだけでなく、「どんな課題を持つ顧客に有効か」「どのフェーズで使うと効果的か」を一言添えるだけで、営業担当者のアンテナに引っかかりやすくなります。
また、グループウェアやSFA(営業支援システム)内で「探しやすい状態」を整えておくことも欠かせません。 マーケティング部門はCMSやファイルサーバーで管理しがちですが、営業担当者は日頃SFAを見ています。SFAのダッシュボードに新着コンテンツへのリンクを設置したり、Notionなどの社内Wikiで「業界別」「課題別」に整理したりするなど、彼らの業務動線上にコンテンツを配置して、探す手間を省く工夫が必要です。
最後に、コンテンツによって生まれた成果をアピールすることも忘れないでください。「この事例記事を読んで問い合わせが来た」「メルマガ経由で受注につながった」といった成功体験を共有することで、社内メンバーがコンテンツの価値を理解し、積極的に活用しようとする機運が高まります。
以上、生成AIを活用してコンテンツの価値を最大限引き出す方法を紹介しました。 「面を増やす」「広める」「社内で活用される機会を増やす」。この3つの視点を持つことで、1つのコンテンツから得られる成果は何倍にも膨らみます。 この記事ではすぐに試せる方法ばかりを紹介しましたので、実行してぜひコンテンツから成果を引き出してください。他にも良い方法があれば、ぜひXなどで教えてください。
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