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Apple Intelligenceが「情報探し」を根本から変える【WWDC 2025】マーケターが知るべき重要ポイント総まとめ

2025年6月17日

WWDC2025

Appleの毎年恒例のイベント「Worldwide Developers Conference(WWDC 2025)」が、日本時間6月10日の深夜から開催されました。このイベントは5日間にわたって開催され、最新のAppleのツールやテクノロジー、機能に関する発表や、新しい使い方の発見に役立つセッションが行われます。

AppleのWorldwide Developers Conference、6月9日(日本時間6月10日)に開幕
Apple Developer youtube

昨今隆盛を誇る生成AIのフィールドにおいて、Appleは後手に回っている印象です。でも、Appleが何もしていないわけはない……Appleって、いま何を考えてるんでしょう?

この記事では、WWDC 2025で語られた内容のうち、「コンテンツマーケティング支援の立場」から気になる点をピックアップしてお伝えします。

Apple独自のAIへのアプローチ:暮らしに溶け込むスタイル

今回のイベントにおいて、Appleは自社のAIへのアプローチについて「スマートで、オフラインでも使えて、プライバシーも保護できる」という点を強調しました。現時点で明らかになっているAppleのAI(Apple Intelligence)の特徴は、以下の通りです。

①”オンデバイス”大規模言語モデル(LLM)へのアクセス
「Apple Intelligence」の中核には、端末内(オンデバイス)で動作する大規模言語モデル(LLM)*があり、すべてのアプリが直接これにアクセスし、活用できるようになるとされています。これは「Foundation Modelsフレームワーク」を通じて実現されます。

※大規模言語モデル(LLM)…大量のテキストデータを学習し、自然な文章を生成したり理解したりする言語モデル

②プライバシーの保護
多くのAI機能が端末内で実行されるため、ユーザーデータはどこにも送信される必要がありません。つまり「非公開のままで処理できる」ということです。Appleは、ユーザーのiPhoneのプライバシー保護がクラウドにも拡大される「プライベートクラウドコンピューティング」という概念を提唱しており、ユーザー以外の誰もデータにアクセスできないと説明しています。Apple自身も、です。

③オフラインでの利用と無料提供
AI機能はすぐに利用でき、オフラインでも動作するため、インターネット接続がない場所でも利用可能です。また、アカウント設定やAPIキーの取得は不要で、開発者もユーザーもすべてのAIリクエストを(現時点では無料で)利用できるとされています。

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Appleは端末にAIを搭載し、ローカルでの生成AI利用を推進しています。
生成AIのフィールドでは後手に回っている印象のAppleでしたが、自社のデバイスに最初からAIを搭載するという点で他社と差をつける方針のようです。

リリースは2025年秋

これらの生成AI機能はiPhoneユーザーにも提供されますが、今回の発表時点では、今年(2025年)の秋にリリースされる「iOS 26」の一部として提供される予定です(ちなみに、これまで「iOS 18」「macOS Sequoia」といったバラバラのバージョン名でしたが、次回から西暦と連動した名称(iOS 26、macOS Tahoe 26など)に統一されます)。

日本におけるiOSのシェアは約6割。これらの機能が一般ユーザーに解放されることで、「これまで生成AIを使っていなかったユーザーにも、生成AIが身近なものになる」といえるかもしれません。

では、このような変化を迎えるにあたって、コンテンツマーケティング担当者はどのようなことを考慮する必要が出てくるでしょうか。

Bangkok, Thailand - September 14, 2020 : The Apple logo on Apple Store in Bangkok with iPhones in the foreground.

①AIフレンドリーネスの重要度が高まる

まずは「ユーザーはAIを使って調べものをする」ということをますます考慮していく必要が出てくるでしょう。

生成AIがより浸透していくことで、会社のWebサイトやマーケティング資料を直接訪問するのではなく、AIによる要約や情報抽出がされた形でコンテンツに触れる可能性が、これまで以上に高まります。

コンテンツマーケティング担当者は、AIがコンテンツを正確に理解し、適切に要約・提示できるよう、コンテンツを整えていくことが求められます。具体的には構成の明確化や、キーワード選定、構造化データの実装といった「AIフレンドリーネス」の向上が、これまで以上に重要になります。

また、ユーザーがAIを通じて得た情報から、いかに「元のコンテンツへの深いエンゲージメント」へと誘導するか、新たな導線設計が求められます。

②パーソナライズが当たり前に

今回の発表ではApple WatchのWorkout Buddyが紹介されていましたが、Workout Buddyでは「ユーザーのフィットネス履歴に応じて、パーソナルな励ましを生成する」ことが、AIによって可能になっています。

このような機能が一般化していくことで、ユーザーにとっては「自分にパーソナライズされた情報が当たり前」のものになっていきます。つまり、SEO記事にしても「画一的なコンテンツ」はユーザーの心に響きにくくなっていくのかもしれません。

今後はユーザー一人ひとりのニーズや、文脈に合わせたコンテンツを提供する方法を模索する必要があるでしょう(この作業を効率的に進めるためにも、AIを活用できそうです)。

グローバルコミュニケーションの深化

加えて、翻訳機能の進化も見逃せないポイントです。例えば、Apple Intelligenceの「ライブ翻訳機能」は、メッセージ、FaceTime、電話アプリに組み込まれ、会話をその場で翻訳することができます。今後は記事や動画のコンテンツも、より広範囲の国と地域の人々に届くようになるでしょう。

このような未来を迎えるにあたって、多文化対応や、翻訳によってニュアンスが失われないような表現の工夫が、これまで以上に重要になります。

コンテンツマーケティング担当者が「Apple Intelligence」を業務で使うなら

では、コンテンツを作成するシーンにおいて、Appleの生成AIはどのように活用できるでしょうか。発表された内容を元に、具体的な例をいくつかご紹介します。

Sep 16th 2020 : A woman holding an Apple MacBook Pro laptop computer to go to somewhere , Chiang mai Thailand

SEO記事コンテンツ作成の全工程が効率化

業務にMac端末を使う方であれば、Apple Intelligenceの機能をコンテンツ制作の様々なシーンで活用することができます。例えば、SEO記事コンテンツの作成なら……

高度なテキスト処理
「Apple Intelligence」の「作文ツール」や「スマートリプライ」を活用し、長文の資料やリサーチ結果を要約したり、記事のドラフトを迅速に生成したりできます。これにより、リサーチと執筆のフェーズを効率化し、より多くの記事を作成できるようになります。

画像・ビジュアルコンテンツの内製化支援
Mac上で「Image Playground」を利用し、記事に挿入するカスタム画像を生成できます。これにより、これまで外注していたビジュアルコンテンツの一部を社内で作成できるようになり、コスト削減と制作スピード向上が見込めます。

リアルタイム情報連携
「Foundation Modelsフレームワーク」はアプリケーションがデバイス上の大規模言語モデルに直接アクセスし、活用できるようにするためのフレームワークです。開発者がデバイス上で直接、強力かつプライバシーに配慮したAI機能をアプリに組み込むための基盤を提供します。

この「Foundation Modelsフレームワーク」における「ツール呼び出し」機能を利用すれば、AIモデルがWeb上の外部データソースや社内データベース(ユーザーの許可があれば連絡先やカレンダーなども)にアクセスし、記事に最新情報や特定のリサーチ結果を引用できるようになります。これにより、常に最新情報に基づいた記事を作成し、SEOにおける鮮度と信頼性を高めることが期待できます。

外出先でも、アイデアを取りこぼさない

一方、「私用端末としてiPhoneを利用しているが、業務で使うPCはwindows」という方も多いと思います。そのような方でもAppleの生成AI機能をちょっとしたことに利用することができます。

作文ツール
iOS 26では「作文ツール」がテキスト生成をサポートし、メールやメモの要約を簡単に行うことができます。
これを活用すれば、外出中に思いついたコンテンツのアイデアやキーワードをその場で文章化が可能。閃きを逃さず、迅速に、コンテンツの骨子をデジタルテキストとして記録できます。

ビジュアルアイデアの具体化
コンテンツのテーマに合わせた独自の画像を、iPhone上で「Image Playground」を使って生成できます。記事に挿入するビジュアルのアイデア出しや、簡単な素材の試作などに使える機能です(今のところ、画風はあまり選べないようですが)。

ビジュアルインテリジェンスでの情報収集
「ビジュアルインテリジェンス」は、ユーザーの周囲にあるものやiPhoneの画面に表示されているコンテンツについて、迅速に情報を調べることができる機能です。例えば、通りかかったカフェの評価を確認したり、外出先で見かけたスニーカーを検索したりできますし、iPhoneの画面上に表示されている画像などについても、すぐに検索ができます。これを利用することで、外出先に目にした情報を瞬時にコンテンツのアイデアとして取り込むことが可能です。

これらの多くのAI機能はデバイス上で実行できるため、インターネット接続がない場所や、移動中でも利用が可能です。加えてAppleのAIはプライバシーを重視しており、Windows PCをメイン環境とする場合でも、iPhone上ではである程度セキュリティ的に安心して作業が行えるといえそうです。

AppleはAppleのやり方で、しっかりAIと向き合っていた

「AppleはAIで少し出遅れたのでは?」
そんな見方もあったかもしれませんが、WWDC25での発表を通じて「AppleはAppleのやり方で、しっかりAIと向き合っていた」ということを受け取ることができました。

そして重要なのは、その発表の多くが、技術者だけでなく、iPhoneを使うすべての人に向けられていたということ。これはつまり、コンテンツの受け手である「ユーザー」が、日々使うデバイスの環境そのものが、根底から変わることを意味します。

これからは、ユーザーがAIと対話するように情報を探し、コンテンツがパーソナライズされるのが当たり前になります。この大きな変化を「自分ごと」として捉え、ユーザーの新しい体験に寄り添うコンテンツ作りを始めていく必要があるでしょう。

生成AI時代のWebマーケティング

サイトエンジン株式会社は、Webマーケティング支援を17年間行ってきた会社です。これまでさまざまな時代の変化がありましたが、今回もまた大きな変化になりそう。

そのような中でも、新しいものを積極的に取り込み、日々学びながら、お客様のデジタルマーケティングを支援してきましたし、これからもそうしていきます。AI時代のWeb集客にお困りであれば、ぜひ一度弊社にご相談ください。コンテンツ制作代行のほか、生成AI活用セミナーなども行っております。

金子 菜未

この記事を書いた人

金子 菜未

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