- 多くの企業で注目されるセールスイネーブルメントとは?
- セールスイネーブルメントはなぜ注目されるのか?
- セールスイネーブルメントの導入事例
- セールスイネーブルメントのメリット・デメリット
- セールスイネーブルメントを導入する際の課題
- 課題①営業データのデジタル化ができていない
- 課題②データは営業ツールに入っているが、分析が出来ていない
- 課題③傾向はデータで把握しているが、それをマニュアル・資料化できていない
- 課題④マニュアル・資料課はできているが、営業部門に浸透していない
- 課題⑤営業に行き渡っているが、営業がそのとおりに行動しないので成果が出ない
- セールスイネーブルメントの導入を成功させるための手順
- まとめ
多くの企業で注目されるセールスイネーブルメントとは?
セールスイネーブルメントとは、継続的な営業成績向上に向けた、営業組織の強化を行うことを指します。営業における研修やツール開発導入、プロセスの管理・分析において、各フェーズを可視化し、目標に対しての達成具合や社員がどの程度貢献しているのかを把握するためのものです。営業活動において生産性を向上させることで、売上向上に結びつける狙いがあります。
近年では、多くの企業で注目されており、主に研修や教育の面、営業部門、システム部門など、様々な部門で使用されています。
セールスイネーブルメントはなぜ注目されるのか?
セールスイネーブルメントが注目される背景とは、「営業成績向上」「生産性向上」「クライアントのニーズの把握」に繋がるからです。
現状として、このような問題対して多くの企業が頭を悩ませています。
その解決策として最適なものがこの“セールスイネーブルメント”なのです。
今後の需要は更に高まる!?
セールスイネーブルメントは今後、需要が高まると予想されます。理由としては、売上向上のためには平均営業スキルを一定まで引き上げる必要があるからです。勿論マーケティング戦略を練ることも重要ですが、見込み顧客の獲得は営業にかかっているのが実情です。
セールスイネーブルメントは大手企業を中心に導入が拡大傾向にあり、営業成績向上の事例が多く見られます。また、SFA/CRMなどの営業ツールの導入をする企業も増えており、営業活動の効率化・最適化を図り、経営者やマネージャー陣の意思決定時間を少なくしています。
このように、世の中の変化が激しい時代に勝ち残るためにも、早期の導入が重要であると言えるのではないでしょうか。
セールスイネーブルメントの導入事例
A社の事例
A社は大企業で、既存の事業については多くのナレッジやノウハウが蓄積されていました。したがって、営業の体制やスタイルを変えることは至難の業でありました。しかし、A社は今後も見据え営業における効率化を図っていく意向を定めました。
複雑化した新しい商材を売ることを明確な目的とし、セールスイネーブルメントの導入を行いました。A社は企業規模も大きくサービスも複雑化していましたが、SFAやMA、ABMなどあらゆるパッケージを駆使し、セールステックを活用しました。データ収集と整備には時間が掛かるものの、その分精度の高いデータを獲得することが出来ました。
その後、イネーブルメントの担当部署を設立し、成功事例の共有を通して誰もが学びやすい環境の整備を整えました。
B社の事例
B社は法人向けに業務支援システムを販売している社員5千名ほどの大企業です。B社の課題として営業におけるコンテンツが多く、それぞれの顧客に合わせたものを探し出すのに時間と手間を要していました。そこで、セールスイネーブルメントが導入され、顧客プロフィールと営業段階に応じて、最適なコンテンツが選ばれるようになり効率化が図られました。
結果として、営業担当者1人当たり約4時間費やしていた社内コンテンツを探す時間をゼロにすることが出来ました。セールスイネーブルメントを活用し無駄を省き、生産性向上に努めた事例です。
セールスイネーブルメントのメリット・デメリット
従来のセールス組織体制を抜本的に改革し、セールスイネーブルメントを導入するメリットまたはデメリットについてご紹介!
セールスイネーブルメントのメリット
セールスイネーブルメントを導入するメリットは以下の通りです。
- 全体としての営業スキルの向上
- 貢献度・成績の可視化による適切な評価
- 営業活動の効率化・最適化
全体の営業スキルの向上
今までの日本は個人の裁量によって営業活動が行われ、個々の実力やスキル、ノウハウが成果の優劣に繋がっていました。また、個々の裁量が大きいことにより、独自のノウハウが展開されることなく、個人が保有している状況にありました。そこで、セールスイネーブルメントを導入することにより、成績が優秀であるトップセールマンの営業ノウハウを体系化し共有を行うことで、全体の営業スキルが向上し、格差のない組織が形成されるのです。
貢献度・成績の可視化による適切な評価
営業担当者一人一人がどのようなアプローチをして成果を出したのか、会社への貢献度はどのくらいなのかを定量的に図ることが出来ます。それにより、個人に対してより適切で具体的な評価を施すことが可能になります。また、他の社員にも貢献度や成績が共有されているので、評価に対して納得感を持つことが出来ます。
営業活動の効率化・最適化
データが可視化され、どのフェーズで滞らせているのか、また営業成績が伸び悩んでいる人が一目でわかるようになります。そのように課題を瞬時に見つけることで、適切なアクションを打ち出すことが出来ます。例えば、受注の際に4時間要するAさんと1時間要するBさんがいたとします。Aさんの業務の効率化を図ることが苦手でどうしても時間を要してしまいがちです。そこで、Bさんが自身の経験をもとにアドバイスを行うことで、改善につながるかもしれません。このように定量的にデータが可視化されることで適切なアクションを打ち出す事が可能になるのです。
セールスイネーブルメントのデメリット
一方でセールスイネーブルメントには次のようなデメリットも存在します。
- 抜本的な改革による困惑
- 業務内容変化による必要な人材の確保
抜本的な改革による困惑
従来の営業体制がリニューアルされ、大きな変化と感じるでしょう。今までの固定観念が取り払われることになるので、多くの不満や戸惑いの声が生まれるでしょう。何事も新しいことを始める際には、勇気のある決断をしなければなりません。
業務内容変化による必要な人材の確保
セールスイネーブルメントの導入により、業務の内容や必要な人員に変更がなされることもあるでしょう。それにより、新たな人材の確保やルールの改定等が行われ混乱が生じるかもしれません。こうした事態を未然に防ぐ為にも、少しずつ会社に合わせた導入をしなければなりません。
セールスイネーブルメントを導入する際の課題
課題①営業データのデジタル化ができていない
課題②データは営業ツールに入っているが、分析ができていない
課題③傾向はデータで把握しているが、それをマニュアル・資料化できていない
課題④マニュアル・資料化はできているが、営業部門に浸透していない。
課題⑤営業に行き渡っているが、営業がそのとおりに行動しないので成果がでない
以上のようにセールスイネーブルメントを導入するにあたって各フェーズで様々な課題が生じます。そのような課題に衝突しないために、導入の成功手順について解説します。
課題①営業データのデジタル化ができていない
営業というと従来の方法では、電話でアポイントを取ったり、直接訪問をすることで商談の機会を獲得し、契約へと結びつけたりしていました。このように、従来の営業手法を行っている企業にとっては大きな変化に感じるかもしれません。
課題②データは営業ツールに入っているが、分析が出来ていない
現在はデジタル技術の発展により、商談機械の獲得のためのアプローチにも、電話や訪問だけではなく、メールやSNSなどの営業マンの活用できるアプローチ手段が増えています。しかし、データは取れているが分析ができていない、または分析する人材がいないという企業も少なくありません。
課題③傾向はデータで把握しているが、それをマニュアル・資料化できていない
分析する人材を確保しデータ分析を通じて傾向を把握したが、それをマニュアル・資料化できていない企業も少なくないはずです。そこに割けるリソースが足りずに、誰でも学べるような環境づくりができていないのも実情です。
課題④マニュアル・資料課はできているが、営業部門に浸透していない
マニュアル作成が完了したとしても、それがメンバーに浸透していなければ意味がありません。社員に学びの場としての時間を提供しマニュアルの浸透を行いましょう。
課題⑤営業に行き渡っているが、営業がそのとおりに行動しないので成果が出ない
マニュアルが浸透したとしても、見込んでいた効果が生まれるわけではありません。知識やノウハウを自分なりに再現できるように、普段からアウトプットの場を提供する必要があります。
セールスイネーブルメントの導入を成功させるための手順

ここで気を付けなければいけないポイントは、初めから完成形を作ってしまうのではなく、細かい検証を幾度も繰り返し、会社に合った形を見つけることです。この検証こそが導入を成功させる鍵となります。手順は以下の通りです。
- プランの策定
- 営業ノウハウの可視化と共有
- SFA/CRMの営業ツールを活用
- 施策の効果を測定・ブラッシュアップ
プランの策定
セールスイネーブルメント導入計画に付随して、セールスイネーブルメントを何にために導入するのか目標はどこにあるのかを設定します。
必ずしもセールスイネーブルメントが必要であるのか、セールスイネーブルメントを導入すること自体が、目的になってしまっていないかを見極めることが非常に重要なポイントになってきます。
営業ノウハウの可視化と共有
各々が持っている知識やノウハウの情報を収集します。その後、集めたデータを営業部門に共有し、スムーズな教育や研修を行うことが出来ます。
今まで多くの営業活動を通じて蓄積された知識やノウハウが共有されることで、全体として営業スキルの向上が可能になります。
SFA/CRMの営業ツールを活用
予め準備できるデータを用意し、案件登録や活動報告、日報については営業ツールを用いて報告してもらいましょう。営業担当一人一人が報告を滞らせてしまうと、負の連鎖に繋がってしまうのでルールをきちんと設定し運用することを心掛けましょう。
従来のシステムと運用を並行させてしまうと困惑の要因になってしまうのでSFA/CRMの住み分けを明確にすることが大切です。
※SFA (Sales Force Automation)とは、日本語で「営業の自動化」を意味します。営業部にある業務プロセスを自動化し効率化を図るためのICT(Information and Communication Technology)システムの1つです。
CRM(Customer Relationship Management)とは、SFAに類似したICTシステムの1つで、営業プロセスの自動化ではなく顧客情報の管理と、情報活用に特化したものです。顧客情報を管理するという点ではSFAと共通していますが、最終的なデータのアウトプットは全く異なるものになります。
施策の効果を測定・ブラッシュアップ
セールスイネーブルメントの導入がある程度進行したら、効果を測定するフェーズに入ります。導入によって見込んでいた効果が表れていないのであれば、うまく運用できていない可能性が考えられます。一度現状を分析し課題を洗い出して、施策のブラッシュアップを行いましょう。
まとめ
デジタルの普及により、従来の体制や在り方に大きな変革が生じています。企業は今までの知識やノウハウを元に最適なアクションを取らなければなりません。日々膨れ上がる情報をどのようにまとめ、施策に落とし込むことが非常に重要になっています。
セールスイネーブルメントは日本では営業のイメージが強いですが、重要なのは「イネーブルメント=有効にすること」なのです。今後は営業以外にもデータが取れる部門に対して導入がなされるかもしれません。また、これからの時代対応するためにもセールスイネーブルメントの早期導入が重要であるのかもしれません。